ハイレベルな福岡コーヒーシーンを知って、行きつけの一店に巡り合う。

2019.01.08

ハイレベルな福岡コーヒーシーンを知って、行きつけの一店に巡り合う。

福岡の街を歩くと、カフェやコーヒーショップを数多く見かけます。店舗の数が多いことに加えて、実はハイレベルなお店が多数あるのを皆さんご存知ですか?というのも、実は福岡は国内外のコーヒー大会で続々とチャンピオンを輩出しているコーヒーの街なのです。2014年のコーヒーの全国大会では、福岡から出場したコーヒーマンがバリスタ、カッピング、ロースターの3部門で日本一を獲得しています。福岡は国内のみならず、世界大会での優勝や上位入賞を果たしたコーヒー人もいるほど、コーヒー文化の根付いた街といえるのです。ということで今回は、福岡のコーヒーシーンがすごい理由と、お気に入りのお店の見つけ方についてご紹介します!

「福岡を美味しいコーヒーと、それを楽しむ人で溢れる魅力的な街にする」ための、情報、イベント、発信活動を行なっている『Click Coffee Works』主宰の古賀由美子さんにお話をうかがいました。

古賀由美子さん1

盛り上がる福岡のコーヒーシーン。その理由は、食通な県民性にあった!?

 福岡の観光プランを立てるなら、「食」は欠かせない要素のひとつです。山海の幸が豊富な福岡の地。飲食店も数多く、友人同士の間でも「どこのなにが美味しい」とか「最近できたあの店にはもう行った?」など、食にまつわる会話で盛り上がることも珍しくありません。福岡の人にとって、"美味しいものを知っている"ということはある意味ひとつのステイタスなのです。その中で、点在するコーヒーショップやカフェについても足を運んだ人から口コミやSNSで広まっているようです。食の豊かさを自負する県民性の延長線上に"コーヒーを味わう"文化が根付いているのでしょう。
また、お酒を楽しむ県民性にも背景がありそうです。屋台で一杯飲んで帰る...など、福岡の人は、お酒を好む人も多くいます。そのため、飲み物にお金を払うことへの抵抗感が少ないとも言われているとか。こうした理由も、福岡のコーヒー文化を底上げしている要素の一つです。

古賀由美子さん2

コーヒーでアツい街「福岡」、ができるまで。

いまや、福岡の雑誌やネットでコーヒーショップだけの特集が組まれるほど、コーヒー熱は年々高まっています。その歩みの中で、福岡のコーヒーシーンにとって大きな節目となる出来事が、2000年春に起こりました。それは、スターバックスの福岡上陸です。それまでは、喫茶店をはじめ、地元でカフェ文化を根付かせた「ソネス」や、ランチと食後のコーヒーをゆっくり楽しむ「ダーラヘストカフェ」(現在は閉店)などのお店で、コーヒーを注文するのが一般的でした。そんな中、スターバックスの参入によって、コーヒーの楽しみ方はより気軽なものへとシフトしていきました。この時期の前後から、地元個人店の店主たちの意識も変化していったそうです。エスプレッソやローストに力をいれたいなど、カフェで働く人達が自分たちのスタイルや方向性をはっきりと持ち始めた時期でもあったといいます。同時に、厳選された高品質のコーヒーを指す「スペシャルティコーヒー」という名前が広まり始めたのもこのときからだそうです。
「From seed to cup」という、スペシャルティコーヒー。"種からカップまで"というこの意味は、豆の生産地から、各地でカップに注がれて一杯のコーヒーとして味わわれるまで、品質管理が徹底されていることを示します。具体的には、生産国での栽培管理、収穫、生産処理、選別、そして品質管理が適正に行なわれ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。さらに、コーヒーの世界基準の品評会である「カップ・オブ・エクセレンス」で、国際審査員により80点以上のスコアを獲得したコーヒー豆をスペシャルティコーヒーと呼んでいます。
当時、スペシャルティコーヒーについて学ぶには、東京の「スペシャルティコーヒー協会」の主催する勉強会に参加することが主な手段でした。そのため、店主のなかには交通費や滞在費をかけて、頻繁に東京へ学びに行く人もいました。そこで学んできたことを、福岡の地で同業の仲間たちと共有し、貴重な知識と経験を高めあっていくことで、どんどん広がっていきました。
「REC COFFEE」の共同代表の一人、岩瀬由和さんもそのひとりです。岩瀬さんは、2014年から2年連続で日本一のバリスタに輝き、2016年には世界大会で準優勝をおさめたスゴイ人で、REC創業時から国内外の大会に出るだけではなく、運営や審査員として積極的に業界貢献していました。

お金と時間、情熱というコストをかけて集めた情報や知識、経験を、自身の店はもとより、お客様や同業者と共有していく。スペシャルティコーヒーの特性も手伝っているのかもしれませんが、ここ10年くらいの間に成長したコーヒー人にとって、情報の開示や循環は当たり前になっています。これは現在のコーヒーシーンの広がりに大きく影響しています。

REC COFFEE 博多マルイ店 店内

REC COFFEE 博多マルイ店

福岡県福岡市 博多区博多駅中央街9-1博多マルイ 6F TEL:092-577-1766

福岡コーヒーショップのすごさは、ゆるさにあった!?

福岡のコーヒー店は、コンペで優勝した人や賞歴のある人をアイコンにしつつ、個性も豊かです。アートの展示をしていたり、グッズを販売していたりと、お店によって個性があり、店主自体もマイペースにお店を続けていると古賀さんはいいます。店主自身のせかせかしていない空気感がお店の雰囲気となり、訪れるお客さんも安心感を覚えるとか。確かに、マイペースな人を前にすると焦る気持ちなんかはスーッと消え、安心して自分の時間が過ごせますね。いい意味での「ゆるさ」って、大事です。それに、そのゆるさがあると1人で足を運んでも店主に話しかけやすいという良さがあります。そうしてコーヒーの話や雑談を通して打ち解けることで、それぞれの"居場所"が増えているのかもしれません。

コーヒー好きなら抑えておきたい“ブリュワーズ”。

福岡コーヒーシーンのポテンシャルの高さはこれまでにも述べたように、世界にも胸を張れるほどです。そうしたシーンの中で、最近新たに登場したスタイルのお店が増えています。自家焙煎してコーヒーを提供する店や、ひとつのロースターから豆を仕入れてコーヒーを淹れる店がほとんどだったこの業界。そこに新たに登場したのが「ブリュワーズ」と呼ばれ、いくつかのロースターから豆を取り寄せて、エスプレッソマシン、ハンドドリップなどの一定の抽出技術を持った人がコーヒーを提供するスタイルのお店です。ロースター別に飲み比べもできるので、自分好みの一杯をみつけるにも良さそうですよ。
ほかにも、「ネオ喫茶」ともいわれるお店も登場しています。昭和へのリスペクト漂うアナログな抽出方法を用いて、クラシック回帰ともいえるお店です。今時のカフェの雰囲気とは少し異なり、コーヒーはもちろん、カップやインテリア、音楽など、昭和のカルチャーを感じずにはいられないような空気感をまといます。どこか懐かしい雰囲気を求めて、足を運ぶ人も多いとか。「ブリュワーズ」と「ネオ喫茶」、それぞれの魅力を味わいに出かけてみてはいかがでしょう?

ブリュワーズ

STEREO COFFEE 外観

STEREO COFFEE

福岡県福岡市中央区渡辺通3丁目8-3 TEL:092-231-8854

COFFEE & CAKE STAND LULU イメージ

COFFEE & CAKE STAND LULU

福岡県福岡市中央区薬院2-3-26 ロワールマンション薬院2 103 TEL:092-707-3089

Good up Coffee イメージ

Good up Coffee

福岡県福岡市中央区高砂1-15-18

MODOO’S COFFEE BREWERS 店内

MODOO’S COFFEE BREWERS

福岡県福岡市中央区警固3-1-28 アーバン警固 2F

ネオ喫茶

マスカル珈琲 店内

マスカル珈琲

福岡県福岡市博多区博多駅南4-16-14 BE-IN TEL:092-260-8321

新川コテージ 外観

新川コテージ

福岡県福岡市中央区薬院3-7-30 新川コテージ1F TEL:092-522-3317

お気に入りのお店の見つけ方

喫茶店や自家焙煎のお店、新たに登場したブリュワーズなど、さまざまなスタイルをもつ福岡のコーヒーショップ。その中から、どのようにして自分に合ったお気に入りのお店をみつけたらいいか、古賀さんがアドバイスをくれました。
インスタを調べてや話題の人気店に訪ねてみることから…なんてことではありません。まずは、自宅や職場といった行動圏内でどこにお店があるか見つけて、そこに足を運んでみては?とのこと。わざわざ時間を作って足を伸ばすということではなく、近所のお店に気軽に訪ねてみることを入口にするのがオススメとのこと。自宅に帰る前にちょっと立ち寄る、いわばサードプレイスとしてコーヒーショップを利用することで外出から帰る前の気分転換にもなります。
さらに、お店で飲むだけでなく、お家でコーヒーを淹れるホームコーヒーを試してみることもおすすめだそうです。お店でコーヒーを飲む楽しみは、液体のところからですが、自宅でコーヒーを淹れると挽くところから楽しめて、コーヒーへの興味もより一層深まるのだとか。そうすることで、お店に行ったときに店主へ聞きたいことが増えたり、会話も弾んだり、コミュニケーションが生まれて次も行きやすくなりそうですね。
福岡のおいしいコーヒーをまずは、近場で一杯注文してみては?

saredo coffee 店内

取材場所提供:saredo coffee

世界各国から仕入れるコーヒー豆を、自家焙煎して販売するショップ。店内に喫茶スペースを併設し、コーヒーの他にソフトドリンクも提供。
福岡県福岡市中央区六本松3丁目11-33 エステートビル 101号室
TEL:092-791-1313