2019.07.16
ハマる人続出!3人の料理家が語るスパイスカレーの魅力
"福岡人は行列が嫌い"とは、もはや過去の話なのでしょうか。「2時間並んでも、スパイスカレーが食べたい!」という人々の列が、福岡でも見られるようになってきたのです。それまでスパイスにあまり馴染みがなかった人でも、次々とトリコにしていくスパイスカレー。自らスパイスカレー好きを公言する3人の料理家さんから、その魅力を教えていただきました。
スパイスカレーは味覚のワンダーランド!
実や葉っぱのまま煮込んだり、挽き立ての粉をふりかけたり。スパイスの豊かな香りと味わいで、夏でも食欲が掻き立てられるスパイスカレー。自由な発想で作られるので、しっかりした定義はありませんが、いわゆる"給食のカレーライス"とは違い、ルーは使いません。
そのエキゾチックな味わいに「私にはちょっとハードルが高いかも?」なんて思っていたら、もったいない!今回は、スパイスカレーの楽しみ方やオススメのお店を教えてもらおうと、3人の料理家さんからお話を聞きました。スパイスカレーの魅力にハマり、カレーやスパイスのイベント、ワークショップを主催している宮村ゆかりさん・SHIMAさん・ノザワエミさんです。
「スパイスカレーは一皿で辛味・甘味・酸味・旨味など、さまざまな味覚が楽しめて、豊かな食体験ができるんですよ。」とノザワエミさん。スパイスは唐辛子のように刺激が強いものばかりではありません。爽やかな風味や甘味を感じるものなど、本当に多彩。その組み合わせはお店ごとに個性があります。「嗅覚や味覚に神経を集中させて、一口食べるごとに何のスパイスが使われているのか探ったり、そのハーモニーを味わったりと、食への探究心がくすぐられますね。」と宮村ゆかりさん。絶妙なスパイスの掛け合わせに、思わず鼻息が荒くなってしまいそうですね。
ひとさじのスパイスに、家族への想いを込めて
実は、とってもヘルシーなスパイスカレー。安心してハマれるのも魅力の一つです。「スパイスは生薬でもあります。ですから、スパイスカレーは美容や健康を応援する薬膳という一面もあるんですよ。」とノザワエミさん。例えば、シナモンは桂皮(けいひ)、クローブは丁字(ちょうじ)で、漢方では食欲不振などにいいといわれています。さらに、前述したように小麦粉と油を練ったルーを使っていないので、食後も軽やかなんですよ。
SHIMAさんは「インドなどカレーの本場では、お母さんがその日の気温や湿度、家族の体調を考えて、カレーのスパイスを足し引きするのだそうです。」と教えてくれました。暑い日は、汗をかいて体を冷やすために辛くしたり、疲れている時は胃腸の働きをサポートするスパイスを入れたり。家族想いの料理なんですね。
そんなふうに、料理家の3人も「どんなスパイスカレーが食べたいか」を、自分の体と対話しています。宮村ゆかりさんは「癒やされたい日はこの店、テンションがあがっている日はこの店...というのがありますね。」と、自分の気分に合ったお店へと自然と足が向くのだそうです。
どっちも食べたい!を叶える、あいがけカレー
スパイスカレーの中でも注目されているスタイルの1つに、あいがけカレーがあります。「一口ちょうだい」「味見させて」。家族や友人と食事に行ったら、ついついそう言ってしまいますよね。そんな気持ちを満たしてくれるのが、一皿で二種類以上のスパイスカレーが盛られている、あいがけカレーなのです。
刺激的なスパイスを想像するとちょっと意外に思うかもしれませんが、スパイスカレーは出汁がいいアシストをします。チキンやポークなどお肉の出汁、トマトなど野菜の出汁、中にはカツオや昆布など和風の出汁を使う店もあるそうです。また、具材もかなり自由で、お肉や魚介類の他にも、植物系の材料しか使わないベジカレーもあります。そこへスパイスを掛け合わせるのですから、同じお店のカレーであっても、全く趣向が違うカレーが用意されていたりするのです。そうとなったらやっぱり、どっちも食べたいですよね(笑)。
まずは、それぞれのカレーを味わってみましょう。その後に、カレー同士をブレンドするように少しずつ混ぜてみてください。「チキンカレーとキーマカレーを3:2で混ぜて...」など、マイ黄金比を探してみるのも楽しいですね。
一期一会の美味しさ。奥深きミールスの世界
もう一つ注目されているスタイルが、ミールスです。ミールスとは、南インドの定食のようなもの。大皿の中心には、サラリと食べられるパラパラのお米が盛られ、その周りにはスパイスを駆使したカレー・お惣菜・スープなどが入った小さな器が並べられています。南インドは年間を通じて高温多湿で、野菜をたくさん食べる習慣があります。ですから、ミールスも野菜たっぷりであっさりとしたものが多く、日本の夏にぴったりなんですよ。
ミールスにはいろんな種類のお惣菜があります。酸っぱくて辛いトマトスープ「ラッサム」、豆から作ったおせんべいのような「ババド」、野菜と豆のサラダ「コサンバリ」などなど。お店によってもラインナップが変わりますし、同じお店でも日替わりだったりしますので、いろんなお惣菜に出会えます。いつものタマネギやキャベツがスパイスのお惣菜となって登場するので、家庭で作る料理のヒントにもなりますね。
あいがけカレーのように、ミールスもまずはそれぞれの味を楽しみ、カレーもお惣菜も混ぜ合わせて食べます。そしてそれが、本当に楽しくてやみつきに!大皿の上にある"定食"すべてを掛け合わせられるので、一口ずつ違う味わいにすることもできてしまうんですよ。料理家さんたちが「あれは、皿の中の宇宙ですね」というほど、奥深い世界が広がっています。
いざ実食!料理家オススメのスパイスカレー店3選
とにもかくにも、まずは食べてみなければ!1店目にご紹介するのは、あいがけカレーが食べられる「タマガワカリー ドットコム」。カフェのように居心地がよくてかわいいお店でいて、しっかりとスパイスが効いたカレーの美味しさが味わえます。
タマガワカリー ドットコム
〒815-0031 福岡県福岡市南区清水1-24-18
営業時間:11:30〜14:30(LO14:00)/17:30〜21:00(LO20:30)
定休日:日・月曜、祝日、木曜夜
電話:050-5436-3795
HP:https://www.instagram.com/tamagawa_curry/
2店目はミールスが食べられる「ゼリージュ」。お惣菜の組み合わせが一定ではないので、ミールスの掛け合わせはまさに一期一会!店内は広々としていてゆっくりできるので、じっくりミールスの世界に入り込めますよ。
Zelliges(ゼリージュ)
〒810-0042 福岡県福岡市中央区赤坂3-10-44
営業時間:11:30〜15:30(LO15:00)/18:00〜22:00(LO21:30)
休み:変則で日・火曜(要HP確認)
電話:092-715-7116
HP:http://www.zelliges.net/
3店目は、家族みんなで通える「ハイダル」です。バングラデシュ出身のハイダルさんが手掛けたスパイスカレーは、薬膳の考え方がベースになっています。辛いものが苦手な人や子どもでも食べられるカレーも、レギュラーメニューにありますよ。
ハイダル
〒810-0023 福岡県福岡市中央区警固2-9-10
営業時間:11:00〜15:00/17:00〜22:00
休み:火曜
電話:092-714-0758
HP:http://hyder-curry.com/
まとめ
最近は、お気に入りのお店の味を参考にして、スパイスカレーを手作りする人が増えているのだそうです。料理家さんの家族からは「おうちミールスなら毎晩でもいい!」なんてリクエストもあるのだそう。美味しくて、健康的で、楽しいスパイスカレーを暮らしの中に取り入れて、この夏を乗り切りましょう!