"あったらいいな"をカタチにした温浴施設 「ヒナタの杜」の誕生ストーリー

2020.11.13

"あったらいいな"をカタチにした温浴施設
「ヒナタの杜」の誕生ストーリー

2019年12月、福岡市西区小戸に誕生した温浴施設「ヒナタの杜 小戸の湯どころ」。快適な暮らしを提案する西部ガス株式会社と、さまざまな温浴施設を手掛けてきたツルカメO&E株式会社がタッグを組み、本気で向き合った「心地いい場所づくり」への挑戦です。従来のスーパー銭湯のイメージとは一線を画す、自然の温もりを活かしたナチュラルな建物、リラックスを追求した空間づくりで、女性やファミリー層を中心にファンを拡大中。もちろんその裏側には、新規事業に熱い想いで取り組むプロジェクトの担い手たちの存在がありました。チームを先導してきた株式会社ヒナタの杜松田和久社長、支配人の中野禎大さんのおふたりにお伺いした、ヒナタの杜誕生秘話をお届けします。

西部ガス株式会社・執行役員であり、「ヒナタの杜」社長に就任した松田和久さん(左)と、支配人として現場を統括する中野禎大さん(右)

暮らしの中に温もりを。誰もが「ほっ」とできる場所を目指して

山登りやウォーキング後のお風呂が大好きで、市内の温浴施設はほぼ網羅してきたという松田さん。2018年、西部ガス(株)事業開発部長に着任早々、同社グループで初めてのチャレンジとなる温浴事業プロジェクトの総括責任者として任命されました。
「お風呂とガスって親和性が高いですよね。暮らし関連サービスを提供する弊社グループが、みなさまに寛ぎや癒しを提供できる場所を生み出すことには大きな意義があると思いますし、相乗効果も期待できる事業だと考えました」
その分、やるからには徹底したこだわりを。西部ガスらしさを打ち出しながら、誰もが納得し満足できる施設をどう描くか。「こんな施設があったらいいな」という理想の具現化に向けて、湧き上がる創意と熱意を胸に、プロジェクトメンバーと共に動き始めたのです。

「着任時、すでに設計プランはでき上がっていたのですが、『浴槽はもっと広くないと』と言い張って大きく見直してもらうなど、設計士さんにはご迷惑をおかけしました(笑)」

コンセプトは「自然の温もりが感じられる第二の我が家」

心からリラックスしていただくために、どんな要素が必要か。まるで我が家のような憩いの空間でありながら、非日常の贅沢感も味わっていただくためには、どんなサービスが求められているか。ほかの施設にないオリジナリティを追求するため、全国各地の人気施設へ足を運んでリサーチを重ねたという松田さん。「1日で6湯巡りなんて日もあって、さすがにのぼせましたね(笑)。」
あわせて女性の意見を積極的に取り入れるべく、社内・社外の女性を対象としたグループミーティングを開催。アメニティやドライヤー、パウダールームの照明にいたるまで、女性ならではのワガママを徹底的に叶えることにしたそうです。
「女性の求めるものは厳しいけれど、本質をついていて納得のいくことが多かったです。ちょっとした細部へのこだわりが、きっと満足度に繋がっていくと確信しました」

アメニティやドライヤーは、女性たちがブラインドテストをして評価の高かったものを採用

そして、「西部ガスならでは」をカタチにした最たるものが、リラックス用の「温暖ルーム」。都市ガスを使用した「ガス暖炉」と全面床暖房によって、身体に優しい自然な温もりが部屋を包み込みます。読書をしたり、仮眠をとったり、お風呂上りのゴロンを楽しんだり......のんびりとする時間の贅沢をとことん味わってもらいたいと、空間・インテリアすべてに心地よさを追求したそうです。
施設名に込めた想いもしかり。「日なた」のやさしい温もりと緑豊かな「杜」の施設で、寛ぎを感じてもらいたい。お風呂だけではない楽しみを詰め込んで、心にも潤いを与えるひと時を過ごしてもらいたい、という願いを込めて「ヒナタの杜」と名付けられました。

緑あふれる温暖ルーム。床暖房の柔らかい温もりを感じてもらえるよう、ビーズソファを設置

出迎えることに喜びを。お客様の笑顔が励みになる

快適なサービスを届けるには、ハード面だけでなくソフト面、つまりスタッフも大切な要素となります。「ヒナタの杜」開業に際し支配人となった中野さんも、この新規事業における挑戦者の一人です。
「これまではお風呂を備えた保健福祉センターで働いていました。地域の方とのコミュニケーションづくりは遣り甲斐のある仕事でしたが、『これまでとは違う温浴施設』というテーマに魅力を感じ、僕もその一端を担いたいと思って手を挙げました」
来館してくださったお客様と言葉を交わしながら、ひとつでも多くの笑顔を増やすために日々奮闘。敷地内でイベントを企画したり、ワークショップを開催したり、愛される施設づくりに向けて取り組んできたそうです。
「毎日タクシーで通ってくれるおじいちゃんもいて、とても嬉しいし励みになります。地元の人気飲食店『ONOグループ』が運営するレストランも女性に好評で、食事のみで利用される方も多いですよ。様々な過ごし方ができるので、自分らしい快適時間を見つけていただけたらと思いますし、僕たちも全力でそのお手伝いをしていきたいです」

ONOグループが運営するレストラン。内容は状況により変更しますので、最新の情報はホームページやSNSでご確認を

「お風呂、温暖ルーム、食事、岩盤浴とたっぷり満喫して、6~7時間過ごしていかれる方もいらっしゃいますよ」

予期せぬ事態の到来。先の見えない不安との闘い

ほかにはない施設の魅力とスタッフの温かなおもてなしの甲斐あって、開業後の滑り出しは上々。さらに多くの人に知っていただくため、プロモーションに力を入れていこうと考えていた矢先、予期せぬ事態が起こりました。新型コロナ感染症の拡大、わずかオープン2か月後のことです。来館者数は如実に減少していき、ついに2020年4月、緊急事態宣言の発令により臨時休館を余儀なくされたのです。
抗えない状況の中で、頭を抱えることもあったという中野さん。「休館中は、先が見えない不安の気持ちが大きかったですね。でも、再開できる環境になった時にすぐ対応できるよう、機械のメンテナンスやお湯の循環など、毎日館内の維持管理に努めていました」。
松田さんも「もちろん経営的な厳しさはありました。でも諦めずに、この現状と共存していくしかない。再開後にどういった形であれば、みなさんが安心して来られるのかを話し合って、万全の対策を備えることにしたんです」。
約1か月後に営業は再開。フロント周りにはビニールカーテンを設置し、検温、マスク、消毒などの徹底を行うほか、レストランはビュッフェ台をアクリルカバーで覆い、メニューも一部変更しました。新しい生活様式を踏まえた、誰もが安心できる環境づくり。新型コロナは確かに想定外の苦難でしたが、同時に変化に柔軟に対応する力と、困難に負けない気概を与えてくれたのです。

緊急事態宣言解除後の5月16日、再び施設に明かりが灯りました

もっともっと多くの人へ、温もりを届けていきたい

これから冬を迎え、ますますお風呂の温かさが恋しくなる季節。
「僕が支配人として改めて心がけていきたいのは、スタッフを大切にするということです。スタッフのモチベーションが高ければ、施設が活性化して雰囲気も明るくなりますよね。そして、ここで働く1人ひとりが『ヒナタの杜』のファンであってほしい。顧客目線に立って、周りの人に自信を持っておすすめできるような場所であれるよう、気持ち新たに頑張っていきます」と中野さん。
松田さんは「再開から3ヶ月で、新規会員数も着実に伸びていますが、まだ来館したことがない、あるいは存在さえ知らない方もたくさんいらっしゃると思います。一度来ていただければ、きっと魅力を感じていただけると思うので、まずはきっかけづくりを重視したいですね」と、さらなる愛情を施設に注いでいきたいと話します。
この9月からは、マリノアシティ福岡にあるスポーツ・アスレチック×エンターテイメント施設「ノボルト」とのコラボチケットを販売、11月中旬からは西新からの無料送迎バス「クルットバス」の運行も開始しました。利用者とのタッチポイントを増やし、より多くの人へ魅力を伝えていくため、おふたりの意欲もますます湧き上がっているようです。

11月中旬より運行開始の無料送迎バス「クルットバス」

内湯、露天風呂あわせて6種類のお風呂で、心も身体も温まりましょう

株式会社ヒナタの杜

〒819-0001 福岡県福岡市西区小戸2-1-87
TEL:092-688-9269

HP:https://www.hinatanomori.jp/