2021.01.27
子どもと一緒に、未来について考えよう。福岡市科学館のSDGsな楽しみ方
遊びながら科学を学べる施設として、家族連れにも大人気の福岡市科学館。季節や時期に応じて展示替えをする企画展示室、科学の知識を深めるサイエンスナビ&実験室、科学の見識を広げる基本展示室、宇宙のふしぎを臨場感ある映像で楽しむドームシアターなど、ワクワクを刺激するコンテンツが溢れる科学のワンダーランドです。
ところでみなさん、福岡市科学館の玄関口である3階フロアには、無料で遊べる体験型展示「連携スクエア」というのがあるのをご存じですか? ここでは、最近よく耳にする「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに、地元福岡の企業の技術や取り組みなどが紹介されています。西部ガスのブースもそのひとつで、SDGsについて知るきっかけの場としても活用されているんですよ。
でも、「そもそもSDGsってなに?」「どんな風に利用すれば、子どもの成長に繋がるの?」、そんな声も聞こえてきそう...。そこで今回は、福岡市科学館広報の板垣早織さん、西部ガス広報の塚田 啓太さん、そしてSDGsを広く伝える講演活動などを行う3児のパパ、福岡テンジン大学の岩永真一さんにお集まりいただき、大人も子どもも一緒に学びを得られる、科学館のSDGsな楽しみ方をうかがいました!
現在、そして未来を知るきっかけづくりに
2017年、六本松に開館した福岡市科学館は、これまでの科学館のイメージを覆すような、最先端の技術を取り入れたインタラクティブな展示で注目を浴びています。自宅が近いということもあり、お子さんを連れてよく通っているという岩永さんは、年間パスを所有しているという科学館ファン。「福岡市科学館の最大の魅力は、過去じゃなく未来に向かった展示をしているということ。つまり、まだこの世の中に存在していない、あるいは存在してるけど世の中に普及していないものが展示されていて、子どもにも大人にとっても新鮮なものが多いんですよ」
常に発見の機会を与えてくれる場所。そんな福岡市科学館が、「連携ブース」のテーマにSDGsを取り入れたのはなぜでしょう?
広報ご担当の板垣さんによると、「持続可能な経済・社会・環境の総合的向上を目指すSDGsは、日本科学の発展とも大いに関係があります。福岡市科学館でも、岩永さんを講師に招いて参加者約100名の大ワークショップを開催するなど、率先してSDGsの取り組み促進や認知の向上を図ることに努めているんですよ」とのこと。連携スクエアでも、各企業がどのようにSDGsに取り組み、世界を変えることに貢献しているかを、わかりやすく発信していきたいと考えたのだそう。
環境にやさしいエネルギー事業を紹介
では早速、「連携ブース」の西部ガスコーナーを体験してみましょう。
まず、ブース手前に設置されたタッチパネルを覗いてみます。画面に触れると、SDGsの17のグローバル目標アイコンが登場し、絵合わせゲームがスタート! クリアできると、SDGsの紹介や西部ガスの取り組みを知ることができる仕組みで、大人でもつい夢中になって何度もチャレンジしちゃいます。
また正面の大きなスクリーンに映し出されているのは、ガスがどのようにつくられて私たちのところに届いているのかを学べる「ガスの旅」ゲーム。海外のガス採掘場から各家庭まで、安全にガスを運ぶという任務を背負って、飛んだり跳ねたり全身を動かして体感プレイ! 「遊びながら、天然ガスが環境にやさしいエネルギーであること、西部ガスの事業がSDGsに結びついていることを感じてもらえたらいいなと思っています」と、身体を張ってデモンストレーションを披露してくれた西部ガス総務広報部の塚田さん。
「西部ガスではCSR(企業の社会的責任)として、セーフティバリュー、環境への貢献、地域社会への貢献、コンプライアンスの推進、人を活かす取り組みの5つの重点課題を設けています。それらを実践していくと、その多くがSDGsにも繋がっています。もともとの企業理念が持続可能な社会づくりにリンクしていることを誇りに思い、今後も取組を継続しながら貢献していきたいですね」
でも、SDGsってどうして必要なんだろう
「福岡の未来を"学び"でつくろう」をコンセプトに、まちをキャンパスに見立てて様々な場所で学びあうコミュニティ「福岡テンジン大学」を主宰する岩永さん。人と人、人と街、そして社会を繋ぐ幅広い取り組みに従事し、天神でのゴミ拾い活動やヒートアイランド対策としての打ち水大作戦などに関わる中で、地球環境問題についても深く考えていくようになったのだとか。
そんな岩永さんに、質問! SDGsって、今どうしてこんなに注目を集めているのですか?
「SDGsは2015年に国連総会で採択されたのですが、未来のために環境や資源を守り、今の生活をよりよい状態にしていくために、世界中が初めて共通の目的を掲げたということは、人類史初のこと。そういう意味ですごい偉業だと思います」
先進国と発展途上国の格差が広がることで貧しい人が取り残され、自然環境もどんどん悪化していく中、地球がこのままでは本当に立ちゆかなくなる、という危機感が集結してできあがったのがSDGsということですね。
「SDGsのGはゴールという意味で、2030年までに17の目標を達成することとしています。でも個人的には、それは通過点にしか過ぎないと思うんです。2030年の段階でこのSDGsを通過しないことには、よりよい2050年も2100年もやってこないということです」
持続可能というのはつまり、今のことだけを考えるのではなく、これからもずっと続けていける社会や環境づくりに本気で取り組んでいくこと。子どもたちが担う未来が少しでもよりよいものであるように、できることを今やる。それは私たち一人ひとり、そして企業にも求められていることなのです。
子どもたちの興味を引き出す、科学館の楽しみ方
「福岡市科学館はSDGsや未来について学びながら、子どもの成長を促すのに最適」という岩永さん。
「大事なのは、『なんでこうなるんだろう』と思うこと。例えば、ガスって大人にとっては当たり前にあるものですが、子どもにとってはその存在がよく分からないですよね。『オナラと一緒なの?』とか(笑)。西部ガスのブースで遊ぶことで火が点く理由が分かったり、日常生活では疑問にすら思わない事に気づけたりするところが大きいと思うんです」
また、岩永さんご自身が、お子さんと一緒に展示を巡る時に大切にしていることがあるそう。
「ただ遊んで楽しかったという感想で終わらせたくないので、できるだけ質問を投げかけるようにしていますね。うちの子たちが好きな展示のひとつに『どこでも地球儀』というのがあるんです。地球儀上のボタンをおすと、その地域の気候や生活が映像で流れるというものですが、映像を観ながら『なんで肌の色が違うと思う?』とか『なんでこんな寒いところにずっと住んでいるんだろうね?』とか、自分自身が浮かんだ質問を子どもにもぶつけてみる。新しい疑問が出てきた時の回答は、そこになくてもいいんです。その疑問にたいして、自ら考えてこうじゃないかと調べていくことが必要かな、と」
学問は「問いを学ぶ」と書きますが、遊びの中に学びがあるって素晴らしい。「科学館はまさにそういう場ですよね」と話してくれました。
板垣さんも、「岩永さんのおっしゃるように、日常生活の中でふと抱く疑問をちょっと立ち止まって考え、その解決方法を探求し、改善に向けて実践すること。これがすなわち科学だと思うんです」と、SDGsと科学の繋がりを改めて教えてくれました。
「福岡市科学館は、用事や目的がなくてもふらっと立ち寄れる場所ですので、公民館のような身近な施設のひとつとして利用してほしいと思っています。もちろん『科学の拠点』でもあるので、科学に興味のある方々には学びを深める場所として、さらには企業や研究機関と地域市民の交流の場としてご利用いただければと思います」
ちょっと対話を工夫してみるだけで、SDGsについてもさらに多くの学びが得られそうな福岡市科学館の楽しみ方。ぜひ、親子で訪れて実践してみてください。土日祝日は混み合うことが多いので、平日を狙うのもおすすめ。また平日は、基本展示室内のサイエンスショーは夕方のみの実施なので、ウェブサイトでのスケジュールをチェックしてから向かいましょう!
福岡市科学館
〒810-0044 福岡県福岡市中央区六本松4-2-1
TEL:092-731-2525
開館時間:基本展示室9:30~18:00(最終入場17:30)
※施設内エリアによってご利用時間は異なります
※夏休み期間中、5階基本展示室の利用時間は19:00まで延長。(最終入場18:30)
休館日:毎週火曜日および年末年始(12月28日~1月1日)
※火曜日が祝日の場合は開館し、翌平日を休館
※春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み(年末年始を除く)期間中は毎日開館
料金:基本展示室/ 大人510円、高校生310円、小・中学生200円
ドームシアター(プラネタリウム)一般番組/ 大人510円、高校生310円、小・中学生200円
HP:https://www.fukuokacity-kagakukan.jp
※最新の情報およびドームシアター(プラネタリウム)の投映スケジュール、料金の詳細などは福岡市科学館公式HPをご覧ください