ドローンの活用で暮らしを変える。未来を見据えた西部ガスグループの次世代プロジェクト

2021.11.30

ドローンの活用で暮らしを変える。未来を見据えた西部ガスグループの次世代プロジェクト

ダイナミックな空撮や自由自在なカメラワークの映像で広く知られるようになった、無人飛行機「ドローン」。近年ではその遠隔操作の機能を活かしてインフラ点検や農業などの分野を中心に活用が進んでおり、さまざまな企業によって機体等の技術開発や新しい事業に向けた実証実験が行われています。
西部ガスホールディングスも、このドローンの可能性にいち早く着目。インフラ点検ソリューションを提供する株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)と提携し、2020年より設備点検やメンテナンスでの実証実験を行ってきました。そして現在も、本格的なドローンビジネスの事業化を目指して取り組みを推進しています。
いったいどのようにドローンの最新技術が活用され、どのような未来を描いていくのか。私たちの暮らしにも変化をもたらしてくれそうな、次世代プロジェクトの全貌をご紹介します。

ドローン事業の本格化に向けて取り組むプロジェクトメンバーの面々

空の産業革命をもたらす、ドローンの成長ポテンシャル

ドローンの活用が世界的に広がる中、日本でもドローンビジネスへの期待が着実に高まっています。2025年度には国内での市場規模が約6,500億円にも上るとの試算が出ており、2020年度の市場と比較しても3倍以上の伸びが期待されているのだとか。
さらに航空法改正の動きもあり、これによってドローンビジネスにも大きな変化が訪れそうです。たとえば、これまでは有人地帯での飛行は見える範囲で操縦する目視内飛行が条件とされていましたが、今後はこのような制限も解除されていく見込み。自動航行で飛ばせる距離が広がることで、物流や警備、施設点検などさまざまな用途のために街中をドローンが飛び交い、私たちの目にする世界も変わってゆくことでしょう。

「ドローン産業は、非常に先進性が感じられる領域だと思います」。そう話すのは、西部ガスホールディングス・事業開発部マネジャーの小玉恵三さん。
「今後大きな成長が見込めるビジネスであることは間違いありませんし、インフラ点検の分野においては弊社との親和性も高いと言えます。西部ガスグループとしても未来の事業創造に向けて、ドローンを活用して夢を実現させていきたいと思いました」

事業の多角化に向けて新規事業の開拓を行う事業開発部。小玉さんは現在、ドローン事業の立ち上げを中心的に担っています

ドローンファンドを通じて得られたJIWとの出会い

しかしひと言でドローン産業と言っても、その中には機械開発、操作用のソフトウェアやハードの整備など多岐にわたる業種が存在します。その中から参入するビジネス領域の情報収集や分析を行い、事業の可能性を模索していくにはどうしたらいいか...。そこで小玉さんが着目したのは、世界中のドローンスタートアップを支援する「ドローンファンド」。ドローン特化型のベンチャーキャピタルでした。

ドローン関連産業のすべてを網羅している「ドローンファンド」に参入することで、財務的なリターンのメリットが期待できることはもちろん、ハード・ソフト、コア技術、サービスなど全方位の最新情報が入手でき、さらに有望なスタートアップ企業との連携を図ることも可能になる。これらのメリットを考慮し、西部ガスグループは2019年に出資を決断したそうです。
「その結果、ファンドを通じてさまざまな企業との接点が生まれ、情報交換ができたことが何より大きかったですね。JIWさんとの出会いも、その中から生まれました」と小玉さん。

JIWはNTT西日本グループで培ってきた設備管理実績をもとに、インフラ点検を主事業とする企業。機体のクオリティの高さやパイロットの技術力などが評価され、昨年だけで4000を超える設備の点検を行うなど豊富な実績を持ち合わせています。

小玉さんと共に事業開発を進める中山 歩さんはJIWについて、「実績、技術力共に、間違いなく日本一だと思います」と言います。「分業化が多い業界の中で、ソフトウェアやAIの開発、海外からの優れたドローンの調達や自社での機体開発など、すべてをワンストップで担っているところも魅力でした」

「JIWさんのドローンに対する研究熱心な企業姿勢も素晴らしいです」と中山さん

そして2020年、西部ガスとJIWは業務提携を行い、グループが保有する施設の点検業務にJIWのドローンを活用するという試みをスタート。点検結果の解析に使うAIを共同で強化することにより、現場への導入が可能なソリューションの実現を図っていくことになりました。

パートナーとなったJIWの事業推進部・笹原猛稔さんはこの事業提携について、「西部ガスさんは、さまざまな事業領域へ挑戦されているチャレンジングな企業だという印象がありました。これまでにないドローンによる新しい事業領域の協創に関れることは、私たちにとっても嬉しいことです」と意欲を見せます。

建設や保守関連に従事していた経験もあるという笹原さん。「世の中を変える一助に自身の仕事が役立てられたらとても幸せだと思います」

ガス管点検へのドローン利用を検証し、高いポテンシャルを確認

業務提携締結後の第一歩として取り組んだのは、JIWを交えたドローンの勉強会の開催でした。各部署のスタッフに集まってもらい、ドローン活用の事例を洗い出しながら社内でのドローン事業への理解を深めることにしたのだそう。

供給本部・防災保安部からこの会に参加した古賀弘幸さんは
「私たちはガス導管や付属設備の維持管理を行っていますが、最初はその業務にドローンがどう関わっていけるのかイメージがわきませんでした。でも勉強会などを通じて、少しずつ理解を深めていくことができましたね」と、徐々に興味関心が高まっていったと言います。

続いて行ったのが、ドローンの有用性の検証。グループが保有する橋梁添架管の点検業務にドローンを活用、つまり橋の下部に設置されたガス管や単独で川を渡しているガス管の点検をドローンで行ってみるというもので、2020年に5橋、2021年には九州地区50橋の点検を実施しました。

ドローン点検実証のようす

点検の現場に立ち会った古賀さんは、「人の目視では難しい箇所を確認できたり、点検時間の大幅な短縮ができたり、あるいは詳細な画像の撮影で劣化箇所をしっかり記録に残すことができるなど、さまざまな利点が見えてきましたね」と、ドローンのポテンシャルを確認できたと話します。

「私たちも実際に操縦の資格を取り、今後に役立てていきます」と古賀さん

本格導入の達成を目標に掲げ、さらなる事業展開を目指していく

検証によってドローンによる点検の有用性や業務効率化を確認できたことから、西部ガスグループは本格導入に向けた次のステップへと踏み出しました。2021年10月より、ドローンを活用した新規事業創出に向けて事業性調査の実施をスタート。モデルケースとして、幹線パトロールをドローンで行うことの効果検証をJIWと共同で進めている最中だといいます。

「西部ガスでは、地中に設置されたガスを輸送する幹線に万が一のことがないよう、未確認の道路工事が行われていないか、路面の亀裂・陥没がないかなどをチェックする目的で定期的なパトロールを行っています。現在はスタッフが車両で巡回していますが、これをスタッフに変わってドローンが自動で巡視を行えるようにするものです」と話してくださったのは、供給本部・防災保安部マネジャーの宮原秀行さん。「導入が達成できれば、労力を大幅に削減できますし、人材の有効活用・最適化にも繋がっていくと思います」

「航空法改正を契機に、スピード感を持って検証を行っていきたいですね」と宮原さん

パトロールに適した機体やソフトの開発、充電スポットの設置、ルートの確認など、実現に向けて乗り越えるべき課題は山積みだと言いますが、プロジェクトメンバーのみなさんの表情は実に生き生きとしていて楽しそう。目指す未来図を実現するという共通目標が、取り組みへのモチベーションを高めてくれているようです。

またこの検証で開発したシステムは、カスタマイズしながらほかの事業への活用も検討しているそう。タウンマネジメント事業における町の警備や通学見守りなど、点検業務以外の分野での展開をはじめ、他社へのサービス提供も視野に入れているのだとか。近い将来、私たちの暮らしにもドローンが大きく関わってくることは間違いありません。

ドローン事業に関わる上で、それぞれが掲げる想いとは

開発、運用、実施、それぞれの立場や視点から意見を出し合い、チーム一丸となって取り組んでいるドローン事業。最後に、今回お話を伺ったみなさんに、各々が思うドローンの可能性についてコメントをいただきました。

まずはJIWの笹原さんから。
「弊社としては、ドローンの力で建設業の3K(きつい、危険、汚い)のイメージや働き方を変えたいという想いを掲げています。新たな手法を創造しながら、携わるすべての人が使えるようになる、そんな未来を創っていきたいと思います」

続いて、西部ガス供給本部・防災保安部の古賀さん、宮原さん。
「ガス管の点検だけに留まらず、ガスタンクやドローンが休憩するステーションの点検などにもうまく活用していけたらと思います。どんどん汎用性が高まっていったらいいですね」(古賀さん)

「私は、災害時に役立てることを期待しています。被害や規制で人が近づけない状況であっても、ドローンでガス設備を確認できるなど、利点は多くあると思います。また、今回取り組んでいるパトロールへの活用は実現までは様々なハードルがありますが、ひとつひとつ突破していきたいです」(宮原さん)

そして、事業を推進する事業開発部の中山さんと小玉さん。
「まずは幹線のパトロールの仕組みを実現していきますが、これを西部ガスグループが日本初の取り組みとして社会に実装していくことを目指しています。航空法改正を契機にドローンへのニーズは確実に高まるので、先駆けて活用し、よりより社会づくりの一端を担いたいです」(中山さん)

「ドローンの活用は点検分野に限らず幅広い活用が検討されており、多くのユースケースやビジネスチャンスがあると思っています。後々は西部ガスグループで中核を担えるくらいの事業に成長させていきたいですし、グループ会社の新たな利益に繋がることに貢献したいと思います」(小玉さん)

AIを搭載したドローンが自由に空を行き交い、私たち人間の行き届かないところまでもサポートをしてくれる時代。漫画の中でしか存在しなかった未来図が、実際に現実のものとなる日も近そうです。
最新の技術を取り入れた西部ガスグループの先進的な取り組みに、これからも目が離せません。

西部ガスホールディングス株式会社

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