西部ガスグループビジョン2030への挑戦が示す 若手社員が描く自身とグループの将来像とは?

2022.01.28

西部ガスグループビジョン2030への挑戦が示す 若手社員が描く自身とグループの将来像とは?

皆さんは金曜日に西部ガスグループ社員に会ったことがあるでしょうか?
いつもよりファッションが柔らかいでしょう?この「カジュアルフライデー」(※)が導入されてまだ1年ほどですが、社内はもちろんお客さまにも大好評。実施に至ったきっかけのひとつは、有志の若手社員からの提案だったそう。

「カジュアルフライデー」が象徴するように、社員の声を生かす取り組みに力を入れている西部ガスグループで、今年新たなチャレンジが生まれました。
それは、創立100周年に向けたグループ全体の「中長期ビジョン」を若手社員で作り上げるというもの。グループ全体の方向性を決める大仕事を、ミレニアル世代(20〜40歳)の手にまかせる。一見すると思いきった決断のようですが、グループにとっても、手がけた社員にとっても、大きな収穫をもたらしたようですよ。早速、その中心となったメンバーにお話を聞いてみましょう。

※カジュアルフライデー
2020年5月に西部ガスグループの一部で導入された取組みで、毎週金曜に自由な装いを推奨している。

働きやすさって何だろう。社員の「声」に耳を傾ける、西部ガスの風土改革

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イメージを裏切った 定員の倍以上の応募とあふれる熱意

「中長期ビジョンを若手社員の手で」、そこには西部ガスホールディングス経営層の強い想いがあったそうです。策定に関わった経営戦略部の松田和俊さんに経緯をお聞きしました。

―西部ガスホールディングス経営戦略部 企画Gマネジャー 松田和俊さん(以下、松田): 西部ガスグループが100周年を迎える2030年、そしてエネルギー事業を中核とする企業グループとしてカーボンニュートラルを達成させる2050年、そのときにグループを担うのは今の若手社員です。だからこそ、中長期ビジョンにその視点や想いを取り入れることが不可欠だとの意見が経営層から多く上がりました。それともう一つ、これから人口減少やエネルギー自由化による競争激化、脱炭素化の進展など、将来の不確実性が顕著になります。その中で、業種を超えてグループ全体の力を結集させたいという考えもありました。

―今回は若手社員だけで意見を出し合ったそうですが、実質的な経営に携わっていない層に任せることに不安などはなかったのでしょうか?

―松田: それよりも、まず若い世代の意見を聞きたかったのだと思います。但し、事務方としては有志で募集をかけたので、社員が集まるかどうかの不安が先にありました。結果的には、20名の募集枠に41名の応募が集まり、それぞれの志望動機もかなり熱意がこもっていて、参加者を絞るのに苦労したくらいです。若手社員に抱くイメージがガラリと変わりましたね。

意見をまとめる難しさと楽しさを知って多様性を実感

実際に参加した方にとって、中長期ビジョン作成にどんな魅力を感じたのでしょうか?中心となって活動した若手社員4名の皆さんにお会いしました。
まず驚いたのが、所属する会社も業務内容もバラバラ。普段なら同じプロジェクトに関わることは無いであろうメンバーで構成されているのです。

―西部ガス株式会社営業本部マーケティング部 お客さまコミュニケーショングループ 一木あずささん(以下、一木): 私が担当している業務は、西部ガスの地域会社やグループ関連会社にご協力いただきながら運営しています。日々、各社のさまざまな意向・考えに触れる中で、今後は西部ガスグループとして、また地域社会に根差した各社としてどうすべきか。もっと視座を高めて考える機会を持ちたいと参加しました。それに、いろいろな会社の方の意見が聞けるのが魅力的だなと思いました。

―西部ガスリビング株式会社ホテル部 中塚琴美さん(以下、中塚): 私は、時代の流れがどんどん加速していると感じていたんです。デジタル化とかSDGsとか。その進化の中心で将来を担っていかねばならないけれど、個人で活動するのは難しいですよね。そんなときに、今回のワークショップの話を聞いて興味を持ちました。私の業務では他社の社員と一緒になる機会があまり無いので、交流もすごく楽しみにしていました。

―西部ガステクノソリューション株式会社総務部 長崇史さん(以下、長): 今までグループや自分の仕事の何十年先について考えようとしても、そのメソッドがわからない状態でした。このワークショップでは、ゴールまでの順序立てた考え方を学べるということで志望したんです。あと、私は経理業務がメインなのですが、やはり他との交流が無く、実際に皆さんがどんな仕事をされているのかわかりませんでした。"西部ガスホールディングス"になったことで、これから人材交流も増えてくるでしょうし、その時にグループ企業がどんなことに取り組んでいるか知っておくべきだと思って参加しました。

―西部ガス長崎株式会社営業部リビング開発グループ 久保慶晃さん(以下、久保): 私はこれまで勢いだけでやってきたのですが、西部ガスグループが置かれている事業環境の変化を感じて、個人としてもっと成長しないとこのままではまずいと思っていました。そんなときにこのワークショップの応募を見つけまして、待ちの姿勢だけでなく自ら携わりたいという思いと、やる気に溢れている同世代と意見をやりとりする中で自分も成長できるなと思ったんです。

募集のときから、松田さんも驚くほどの情熱を持って参加したという皆さん。
事務局ではメンバー決定後、中長期ビジョン作成のため計八回のワークショップを開催。エネルギー需要や地域貢献など、将来の課題となるさまざまなテーマを想定し、まずは有識者によるワークショップに参加してもらったそうです。
その後、5人ほどのグループに分かれてその日のテーマについて討論。グループ内で課題解決への提案をまとめて発表を繰り返しました。

―普段の業務も視点も違う人々、ましてや誰もが熱意を持って臨んでいる場だけに、意見をまとめ上げるのは大変だったのではないでしょうか?

―松田: そこは意識していませんでした。いろんな人がいろんな意見を言えるような形にしたいと思って、あえて得意分野や業種を考えずグループを分けたんですよ。

―久保: 実際に、いざやってみるとそれぞれ進行や発表の仕方にも個性があり、まとめるのが得意な人や、アイデアを豊富に持っている人などいろんな人が力を発揮していて面白かったですよね。

―一木: そうそう。毎回グループが変わったので、まとめ方も雰囲気も違うんですよ。それが逆に刺激になりましたね。

―長: 私はメンバー内でも年長サイドだったのですが、年下の方の意見がすごくしっかりしていて自分はやばいかも...なんて思いました(笑)

―中塚: 焦りましたよね!皆さんすごく勉強していて、私はこのままのらりくらりとしていていいのかなと(笑)

感染対策を講じた上で開催しました

―久保: 最初の未来を見据えた有識者ワークショップも、難しい用語が多くて思考停止することが結構ありました。ただ、そこから出てきた意見や考えをみんなで付箋に書き出した内容は、多彩でかなり刺激になりましたね。僕も若いつもりでしたが、20代前半の社員と話すとギャップを感じることもあって。自分で当たり前だと思っていたことがそうではないと気付かされました。

―長: そうそう。意見を書いた付箋を分類して、論理立てしながら説明しなくちゃならない。最初はまとまりがつかないまま発表時間を迎えていたのですが、回数を重ねるごとにスムーズになりました。個人で考える時間よりも話しながら意見を出したり、結論までのストーリーを確認したり‥

―久保: 話し合うことで、同じグループ企業でも知らないことや逆に教えてもらうことも多く、グループの多様性を実感しましたね。特に上手に進めていたのは一木さんのグループですよね。

―一木: ありがとうございます。付箋に書いた内容だけで議論すると表面的なものになるでしょう。でも、その意見に至る考え・プロセスこそ大事だと気付いたんです。だから、私の班は"なぜこの考えになったのか"ということも含めて話し合うことで、結論への道筋がスッキリしました。他のグループの皆さんもどんどん独自の工夫を取り入れていたから、論理立てのスキルが上がったんじゃないでしょうか。

―久保: 中塚さんの班は、今どんなテーマについて考えているか、何度も振り返ってずれないようにしていましたね。長さんは発表することを前提に意見を共有していました。ここにも多様性が生かされているのかなと。僕はこれまで自分だけで仕事を抱え込む癖があったのですが、他の人の意見を聞いてみようとか任せてみようとか、そういうことを考えるようになりました。

―長: 私は全ての意見を生かしてロジックを組み立てるのは無理だとわかりました。自分の考えとは違っても、課題への結論としては正解。なんて場合は、特に発表に苦労しました。

―一木: 発表時間は短時間でしたもんね。その中で、個人の思いやグループの考えを伝えるのは苦労しました。

―松田: 検討する内容に対して、時間は十分ではなかったですよね。今の話をお聞きして、皆さん不完全燃焼な部分があったんだなと。まだまだいろんなことをやってみたいんだろうなと思いました。グループとしては意見を拾い上げる仕組みも考えなければ。

“地域をリードする存在になる” 強い意志が将来への追い風に

さまざまな人が混じり合うワークショップは、自身の価値観や多様性についても気付く場であったようです。そうして生み出された“中長期ビジョン案”ですが、目を通した松田さんは、どのような感想を抱いたのでしょうか?

―松田: 僕らや経営層が想定していた内容よりも、“攻め”に転じる姿勢が強いなという印象でしたね。細かいですが、“地域に貢献します”ではなく、“地域をリードします”。“環境の変化に対応”ではなくて、“環境の変化を起こす”という感じ。
それは、“西部ガスグループは地域で活躍できる素地を持っているから、しっかり引っ張って行こう”という意志の表れなんですよね。僕らの先を行く発想に感心しました。やっぱりワークショップを実施してよかったなと。

若手社員の皆さんの活動があったからこそ、グループ内ではより多くの従業員の声に耳を傾けるべきだという気運が高まったのではないでしょうか。

―松田: ホールディングス化において、“内部改革を果たす”という目的があるのですが、今回はまさにそれです。今後は若手社員だけではなく、さまざまな分野の人と交流しながら重ねていきたいですね。

若手社員が描く、グループと個人の今後の目標とは

参加者自身の中でも“内部改革”は進んだのでしょうか?
若手社員の皆さんにこれからの目標について直撃しました。

―一木: ワークショップ参加後は、自分の業務がもたらす意味や会社の役割をもっと意識して働いていきたいと思うようになりました。それに、先ほど松田さんが“不完全燃焼”とおっしゃったのですが、完成していないからこそいいのかなと。2030年と言わず、3年先の未来でも不確定です。だからこそ、“西部ガスグループはどうあるべきか”“自分はどんな役割を果たすのか”など個人でも職場でも定期的に議論する機会を持ちたいと思います。

―中塚: 今まで意識していなかったのですが、西部ガスグループは、地域を本当に大事にしているんですよね。そして、そのことに誇りを持って働いている社員が多いと思いました。私も地域を意識しながら、新しいことに取り組みたい。このワークショップで学んだ姿勢をずっと大事にしていきたいです。

―長: これだけテクノロジーが進む中でも、会社では印鑑が必要で出社しなければならないんですよね。今まではしょうがないと思っていたけれど、ワークショップで議題に上がったように、少子高齢化が進んで働き手が減ってくる。今のうちから経理業務もデジタル化を推進し、できる仕事は自動化しておくべきだと痛感しました。その反面、情熱を持った仕事は機械では置き換えられないもの。皆で作り上げたワークショップを一過性にせず、経理業務の中でどう活かすか。働くことの意味を考えていきたいと思います。

―久保: 今回皆で議論した内容を実現するには、しっかりとした基盤が必要です。そのために現在の業務の大切さや収益性の重要性を再確認し、知識や経験を積んで新しいことに挑戦していきたいですね。
それに、今回西部ガスグループとして皆さんと関われたことで、グループ内の繋がりや強みを改めて感じました。今後もグループ規模での取り組みが増えて、波及効果が続けばと思いますし、なにかきっかけになることができればと思います。
結果、このビジョンが実現する2030年でも力強い西部ガスグループとしてあり続け、自分の子どもに“お父さんの会社はすごいだろ”って誇りたいなと思います。

参加者の皆さんのお話を聞くと、自身の将来像と西部ガスグループの行く末がしっかりとリンクしているのを感じます。彼らの情熱あふれるビジョンは、グループ全体の“内部改革”にも、そして次の世代にも、心強い追い風になるのではないでしょうか。2030年を心待ちにしながら、社員とグループ企業の幸せな化学反応を今後も見守っていきたいと思います。

西部ガスホールディングス株式会社

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