2022.11.17
ソウゾウ大学、はじまる。「想像」と「創造」で企業と人の未来を育てる
2022年10月17日、福岡市の油山にある西部ガスグループ油山研修所にて新たなプロジェクトがスタートしました。その名も「ソウゾウ大学」。西部ガスグループが創業100周年を迎える2030年までに、変革意識を持ち、西部ガスグループの未来をつくるために大胆に挑戦し続ける「未来ソウゾウ人財」を育成することがミッションです。「企業内大学」という構想は、一体どんなアイデアから始まったのでしょうか?運営を担う事務局と学長の道永幸典氏(西部ガスHD代表取締役社長)に、このプロジェクトにかける想いをうかがいました。
人財と会社の変革を目指して
西部ガスグループ初の企業内大学に期待するものとは?
今回の「ソウゾウ大学」の発端は、持続可能な未来を目指す「西部ガスグループビジョン2030」にあります。「2030年のありたい姿」(=『人を、街を、社会をつなぎ、未来をつくる。』)を実現するための「新たな価値創造や挑戦を後押しして変革をリードする人財を育成する」という観点で進められたのが、企業内大学「ソウゾウ大学」なのです。
ソウゾウ大学の第1期は、10月17日からの約3ヶ月間で計9回のプログラムが予定されています。起業家や有識者からのインプットを経て、チームで課題を探し、最後にその課題解決アイデアを発表します。チームのつながりを育みつつ、実践しながら「新たな事業を生み出すチカラ」、「変革するチカラ」を身に付けるのが狙いです。
初日は1期生15名が集まり、3名ずつ5チームに分かれての初顔合わせとなりました。9つの会社から年代も性別も地域も多様なメンバーが集まり、受講生同士はほぼ初対面でしたが、「学びたい」「自己変革したい」「挑戦したい」と志を同じくする仲間として、すぐに意気投合した様子。初回のミーティングでは活発に意見が交わされていました。
受講生の一部に応募のきっかけと今後の意気込みについてお聞きしました。(受講生の名前はソウゾウ大学でのTACネームです)
―かたさん(西部ガス 広域産業エネルギー開発部):応募の理由は2つあります。一つは入社して6年間ずっと同じ部署にいるので、新しいことに挑戦したいと思ったからです。もう一つは、営業としてお客さまに接する中でガス以外のお悩みやご相談を受ける機会が増えてきたことです。ソウゾウ大学ではいろいろな知識にも人にも出会えると思ったので、お客さまのニーズを汲みとった問題解決のアイデアも見出せるんじゃないかと期待して応募しました。いろいろなものを吸収して、最優秀チームやPoC(実証実験)移行を目指したいです!
―あかりさん(西部ガス・カスタマーサービス お客さまサービスセンター):これからの数ヶ月で今までの自分に無かったスキルを身に付けていきたいです。「チームで1つのプロジェクトに向かって協力する」のは自分にとって初めての経験なので、いい刺激をもらえる貴重な機会になると思っています。今後はお客さまをはじめ、他部署や他社の方々との「つながりの場」を大事にしながら、挑戦を続けていきたいです。
―マコさん(西部ガス 供給管理部):正直、2030年のグループビジョンを最初に見た時はあまり身近に感じられなかったんです。もっと自分ごととして能動的に考えたいと思って、いろんな視点が得られるソウゾウ大学入学を志望しました。ビジョンの中で「ガス」という言葉がだんだん少なくなっているのも気になりましたし、私自身、導管事業に長く携わっているので頭の中が凝り固まっていると感じていたので、新しいことを取り入れなければと思っています。今までの自分をまっさらにして、いろんな会社や部署の方と考えを深めていきたいです。
―まーさん(久留米ガス 地域営業部):キャンペーンなど企画系の仕事をしているのですが、企画のアイデア出しをする上で自分だけで考えることに限界を感じて苦戦していたんです。企画力をもっと上げたいと考えていたところに、この大学の話を聞いて入学を志望しました。今日お話しいただいたソウゾウ力というのは、自分の中に無かった発想ですし、講師や受講生の皆さんのお話を聞いただけでも今までに無い経験ができると確信してワクワクしています。ここで学んだことをこれからの業務につなげていきたいですね。
ソウゾウ大学の開校にあたり、西部ガスグループ(連結子会社)の全社員に第1期入学希望者の公募を出したところ、部署や業種の垣根を越えて定員の2倍以上の応募が集まったそうです。
こうした「変革」「挑戦」への意欲は、グループにどのような影響をもたらすのでしょうか。続いて、学長に就任した道永社長にお話をお聞きしました。
「学び」と「自己変革」と「挑戦」の先に
新しい人財育成がグループへもたらす「夢」とは?
開校式で道永学長が受講生たちに話したのは、「学び」と「自己変革」と「挑戦」というソウゾウ大学の根幹に関わる部分でした。
「学び」とは、想像・創造の二つの意味を持つ「ソウゾウ力」や課題解決力を身に付ける充実した学習であること。
「自己変革」は、所属を越えた仲間と、有識者など社外とのつながりを通してさまざまな刺激を得て自身に変革をもたらすこと。
「挑戦」とは、ソウゾウ大学の枠組みの中で自分の力を思う存分試すこと。
この日初めて顔を合わせた受講者の表情を見て「熱意を感じた」と期待をのぞかせる道永学長は、こんなエールを送っています。
―西部ガスホールディングス代表取締役 道永幸典社長(以下、学長): 環境変化の激しい時代に現状を維持するだけでは、グループとして飛躍することもない。何よりも皆さんにとって夢が無いでしょう。受講生の皆さんには、この機会に自分の中にあるアイデアをどんどん出してほしいと思っているんです。
―実際に事業化する可能性もあるのでしょうか?
―学長:よいアイデアが出てくれば事業化もあり得ると思っています。その際には失敗を恐れずにやってみてほしいと思っているんです。履きやすく脱ぎやすいサンダル履きくらいの気軽さで、まずやってみる。西部ガスグループには挑戦できる風土があるということをグループ社員に実感してほしいです。
―かなり大胆ですが心強いお言葉ですね。挑戦する気持ちを持ち続ける秘訣はありますか?
―学長:やっぱりたゆまぬ好奇心が一番大事だと思います。好奇心が無いと気持ちは枯れていってしまうんです。今日ソウゾウ大学に来てくれたのは、きっとこういう好奇心を持った人たちのはずです。僕のモットーは『旧慣墨守(きゅうかんぼくしゅ 古いしきたりをかたくなに守ること)を打破する』ですが、前例のないこの大学で、アイデアの実現を目標として切磋琢磨してほしいですね。
―一人一人の挑戦が新しい価値を生み出すということですね。社外的にも注目されそうな試みですよね。
―学長:インフラ企業はお堅いイメージがあるでしょう。だから、こうしたチャレンジを生み出すプロジェクトは話題性があると思うんですよ。その点も大きなアドバンテージになるはずです。
受講生と同じくらいワクワクした表情で語ってくれた道永学長。温かく力強く背中を押してくれる言葉は、「ソウゾウ大学」のプロジェクトそのものにも向けられています。
企画から運営まで、受講生を導く事務局の皆さんはどのような想いでスタートを迎えたのでしょうか?
自分たちの未来を自分たちで「ソウゾウ」してほしい
人財育成と新しい価値創造の両輪を回す
まさに旧慣墨守を打破した取り組みである「ソウゾウ大学」。一体どんなきっかけでスタートしたのでしょうか?運営メンバーの中心である、西部ガスHD人財戦略部の小川周太郎さん、初村清香さん、経営戦略部の荒木博樹さんの3人にお話をお聞きしました。
―「ソウゾウ大学」としてプロジェクトを進めるにあたって、どんなことに気をつけられたのですか?
―小川:人を育てつつ、新しい事業アイデアも作るというのが最初のイメージでした。この二つは絶対両立できるし、相乗効果を生むと思ったんです。若手社員から、自ら手を挙げて挑戦できる場が欲しいという声を多くもらっていたことも動機の一つです。変革する力を身につけるなら、プログラムを学んで終わりではなくて、その先をちゃんとつくることが重要だと考え、実証実験できるフェーズを用意することにしました。この段階の設計はかなりこだわったポイントです。
―実際に定員の2倍超えとなる応募が来たということですが、想定内だったのでしょうか?どのように選ばれたのですか?
―初村:想定以上の応募があり、驚きつつも嬉しく思っています。小川と荒木を中心に周知をじっくり行ってきた成果が出たのだと思います。
―小川:どの応募者の応募書類も熱意がこもっていたので、選考は迷いに迷いましたが、最後は、「西部ガスグループの未来を変革したい」という想いの強さを基準にして選考しました。今回選考されなかった方にもまた応募してほしいです。
―初村:今回は20〜40代からの応募となりましたが、50代以上の方もぜひ応募いただきたいんですよ。年齢制限は設けていないので。
―2期生、3期生の募集に期待ですね。今期の抱負や期待していることはありますか?
―荒木:私は学びだけではなく、実践にも力を入れたいんです。楽しいだけではなく、ビジネスとして成り立つかどうかまでしっかり考えてアウトプットしてもらいたい。いいアイデアに関しては、実証実験まで会社でサポートしますので、そこまでのクオリティを目指してほしいですね。
―小川:15人それぞれが考え方やスキルをアップデートして、職場の課題を解決したり、新たな価値創造を現場でできるようになればグループ全体も底上げされるはずです。今期の受講生は、きっと応えてくれると期待しています。
―初村:受講生にとっては「できないこと」に気づく場面が多いのではないかと思います。失敗したり落ち込んだり。しかし自分を知ることが次のステップにつながるので、こうした気づきを大切にしてほしいです。
「失敗してもいいからチャレンジしてほしい」というのは、今までも会社として呼びかけてはいたんです。でも、実際には失敗すると怒られるという矛盾に苦しんでいた方も多かったと思います。この機会に失敗したって次があるということを体験してもらって、その文化を現場にも浸透させていきたいですね。若手の失敗を成長として認めるような会社になってほしいなと。だから、この「ソウゾウ大学」が会社の働き方を変える起爆剤の一つにもなると思っています。
―小川:挑戦している人を見て、自分も挑戦してみよう!と思えるような会社を目指したいですね。そこをサポートするのも私たちの役目だと思っています。
まとめ
初回とは思えないほどの一体感に包まれたキックオフは、この「挑戦」の成功を予感させます。学長や事務局の想いを受けて、受講生、そしてグループの未来につながる変革のタネがどんな実を結ぶのか、今後も目が離せません。
暮らしラボでは「ソウゾウ大学」の記事を公開していきますので、皆さまぜひご覧ください。