2023.01.17
新たな学舎で仲間と共に悩み、共に脳に汗をかく。ソウゾウ者たちに芽生えた"未来への光"とは...
2022年10月からスタートした西部ガスグループの企業内大学「ソウゾウ大学」。15名の受講生が3人でチームを作り、西部ガスグループのリソースを活用して社会課題を解決するアイデアを探ります。
開始して2ヶ月、受講生たちはどのような学びを得て、新規事業案の「最終提案」へ向かっているのでしょうか?今回は、ソウゾウ大学での活動について8名の受講生に座談会を通して話をお聞きしました。
実践的なカリキュラムで多角的な「ソウゾウ脳」へシフトする
まずはこれまでのカリキュラムをざっとおさらいしましょう。初回は受講生たちの顔合わせから、各分野の有識者による講議を経て、グループワークを開始。2〜3回目は1泊2日での実施で、受講生同士の距離がぐっと縮まりました。
4回目の授業では、日の里団地の再生プロジェクト「ひのさと48(※)」へ実際に足を運び、フィールドワークを通して地域活性化事業のアイデアを検討しました。企画構想や効果的なプレゼン方法を学び、いよいよカリキュラムも後半戦に突入。2月には今までの学びを踏まえた新規事業案の最終提案が待っています。
(※)福岡県宗像市にある日の里団地を活用したプロジェクト。詳しくはこちら。
これまでインプットとアウトプットを繰り返して考えてきたことで、それぞれが内なる変化や成長を実感できている頃ではないでしょうか。受講生の皆さんに、折り返し地点を迎えての感想をお聞きしましょう。
日常の仕事にはない刺激を求めて
挑戦者たちが感じた変化
座談会に集まったのは、8名の受講生の皆さんです。出会って2ヶ月の間柄なのに、会話のパスを自然に楽しむような雰囲気。会社ともプライベートとも異なるこの温度感は、ソウゾウ大学での活動がもたらしたものなのでしょうか。
まずは、各メンバーに「ソウゾウ大学に応募したきっかけ」について教えていただきました。
(受講生の名前はソウゾウ大学でのTACネームです)
―コーチ(江田工事 福岡工事部):「何でもやってみたいタイプなので、上司から紹介されてすぐに決めました。とは言え、普段は工事現場で溶接しているので、こういった研修は初めてなんです」
ゆうくん(西部ガスホールディングス デジタル戦略部):ソウゾウ大学の目的の一つが地域貢献ですが、東京から移住したばかりで、福岡や九州について知りたかったので応募しました。あとは、グループ内のいろんな部署や企業の人とつながりたいと思ったんです」
―なみえ(西部ガス 長崎供給部):「私は入社2年目なのですが、担当業務がルーティンワーク化しているんです。改善すべき点はわかるけど対策につまづいていて、発想力が欲しいなと思って即決しました」
―さとちゃん(西部ガス 生産部):「去年、会社の研修での適正診断で『変革力が不足している』という指摘があり、その短所を改善したかったんです。あとは製造以外の分野で仕事をしてみたくて応募しました」
―のだり(西部ガスホールディングス 広報部):「私は単純に面白そうだと感じ、若い人たちともつながる良い機会だと感じて応募しました。今は時短勤務中なので悩みましたが、周囲の理解もあり挑戦を決めました。」
―けんたろー(西部ガスホールディングス 経営戦略部):「一から創り上げることができる一期生というのがいいですよね。今入社3年目なのですが、縦横の繋がりを広げたいと思ったんです。普段はグループ会社の事業を見る仕事をしていますが、既存事業の変革の難しさを感じていて、自分でも新規事業を立ち上げられるようになりたいと思って応募しました」
―まいち(西部ガス熊本 総務部):「『自分たちの手で未来を変える』というキャッチコピーに惹かれました。人の前で喋ったり提案したりするのが苦手だったのですが、自分の殻を破るチャンスだと思って応募を決めました。また、所属している西部ガス熊本で新規事業の話が上がっているので、そこで活かせる力を身につけたいというのも理由の一つです。ソウゾウ大学で学んだことを地元に還元したいと思っています」
―サセボゥ(西部ガスエネルギー 営業開発部):「入社して16年間、一般のお客さまの対応や営業開発の仕事に携わってきました。これから会社が大きく変化する中、ソウゾウ大学ならいろんなグループ会社の方と接して、学ぶことができる。そんな好奇心を持って応募しました」
―自己変革と仲間作りを望んで志望した人がほとんどですが、実際に入ってみた感想はいかがでしたか?
―コーチ:「自分の視野が広がった気がします。例えば、今まではグループ理念である『地域貢献』も、どんな活動をしているのか意識していなかった。前回行った日の里団地など、今までにはない世界を知りました」
―けんたろー:「すごい速度でインプットとアウトプットを繰り返していますよね。大変だけど楽しいです」
―まいち:「普段と違う頭の回転が必要ですよね」
―なみえ:「最近は課題を解決するためのプロセス、思考回路が頭に入ってきたなと感じます」
―ゆうくん:「それは、どのタイミングで気づいたんですか?」
―なみえ:「日常業務の中ですね。まず課題を見つけてそれを解決するという流れができるようになってきたと思います」
―のだり:「良くも悪くも1日中、頭の中にソウゾウ大学があるんです。「日常生活の中でも、これソウゾウ大学で使えるかな?」と考えてしまいます。(笑)」
―なみえ:「確かに。私も日常の仕事と課題を考える時間を完全に分けようと思っていたけど、無理でした」
―コーチ:「現場で溶接していても、課題のことが浮かんできたり...」
―一同:「そこは危ないから集中して!(笑)」
―皆さん、かなり「ソウゾウ脳」になっているようですね。通常業務とソウゾウ大学の課題は両立できていますか?
―ゆうくん:「2月に最終アウトプットを出さなきゃいけないけど業務もパンパンで。正直想像していた以上に大変かもしれません」
―のだり:「上司が理解してくれて配慮してもらえている一方、その分結果を残さなきゃというプレッシャーもあります。全力で取り組むことが職場への恩返しになると思っています」
―さとちゃん:「職場でもソウゾウ大学に対する関心は高いですよね。僕は業務の合間に上司や同僚に『どんなことをしているの?』とよく聞かれます」
―けんたろー:「僕もざっくり話しています。経営戦略部だから事業や数字に関心が高い人が多くて、参考になるし助かっています」
―サセボゥ:「うちの会社から参加しているのは私1人なので、上席の人からよく聞かれるんです。周囲からの関心の高さを感じます」
仕事との両立は大変な面もありますが、いつもの仕事と並行して進めるからこそ自分の変化にも気づきやすいのかもしれません。
では、チームで動くことでさらなる化学反応は生まれたのでしょうか。カリキュラムを通しての気づきについてもお聞きしました。
クリエイティブの深淵で自問自答しながら
仲間たちと共に最終発表に挑む
―実際にソウゾウ大学に参加して、発見したことはありますか?
―さとちゃん:「日の里団地に行った時は、前もって立てた仮説が全然ニーズに合ってなくて驚きました。最初、僕らは田んぼのシェアをやろうと言っていたんですよ。でも、住人にとっては娯楽がないことの方が問題だった。地域の方の話を聞いて、街を歩いたことで、最初の案とはまるきり違った内容になりました」
―まいち:「自分たち本位の考えでしたね」
―のだり:「日常の業務だとゴールに向かって筋が通っていればいいと思っていましたけど、事務局から『筋は通っているけど、何の情熱も伝わってこない』と一蹴されました。そこから考え抜くのがすごく苦しくて、本当にそれがやりたいのか?と思うと…」
―けんたろー:「熱量が必要とされているのは改めて感じます。普段の業務をしていても、熱意を持てるかどうかを考えるようになりました」
―熱意を持ち続けるために、工夫されていることはありますか?
―サセボゥ:「受講後もチームで集まって話すとまた熱が入りますよね。それがモチベーションに繋がっているのかなという気がします」
―けんたろー:「そうですね。1人で悩むわけじゃないから挫折しないんだと思います」
―のだり:「チーム制なのがいいですよね。自分の案をあきらめる力と、他の人たちの意見を取り入れる力も付きますし。」
―最終提案に向けて、チーム間の連携は高まっているようですが、今後の課題はありますか?
―ゆうくん:「それぞれの業務が本当に忙しくて、参加自体のハードルが高いことです。他のチームに比べて、ソリューションの方までたどりついていないんです」
―なみえ:「同じく課題に対する時間をどれだけ一緒に費やすことができるのか。そこが大きな課題かなと思います」
―まいち:「うちのチームも対面で話す機会もなければオンラインでも時間が合いません。3人での会話量を増やせればいいですね」
―さとちゃん:「まいちと僕のチームは、前回の研修で面白い視点を発見できたんですけど、アイデアの解像度が上がっていないことが課題です。また打ちのめされたらどうしようと不安をかかえながら取り組んでいます」
―のだり:「私はチーム内でも年長なので、ある程度先の予測が付くことで、他の二人があげた意見をはじいてしまうことがあります。ソウゾウ大学の課題では今までの経験が足枷となり、自分でアイデアに制限をかけてしまうんです」
―ゆうくん:「そんなときはどうバランスを取るんですか?」
―のだり:「二人のアイデアに自分の色を足すようにしています。あと、私たちのグループは家族やつながり等を軸にしていますが、以前のカリキュラムで学んだ『アイデアの軸を一つ決めて、迷ったらそこに立ち戻る』という教えを実践しています」
―けんたろー:「僕はチーム内で年下ですけど、意見を尊重してくださるのがすごくありがたい一方で、自分本位の意見になっていないか気をつけています。あと、仕事柄どうしても収支を重視する癖があるので、意識的に社会問題解決にフォーカスするように心がけています」
―ゆうくん:「それも分かるけど、最終的には突っ込んでいくしかないですよね。そこに一本でも光があるなら」
―一同:「イイこと言った!」
まとめ
忙しい業務の合間でも終始笑顔で取り組む皆さんの姿は、「ソウゾウ大学」の目的の一つである、「つながり」が順調に育っていることを教えてくれました。クリエイティブの葛藤や苦しみを乗り越えてなお情熱を持ち続けられるのは、背中を預けるチームメイトや職場の応援があるからこそ。さらに、自分の中に芽生えた変化を自覚することで、アイデアを形にする「ソウゾウ脳」はより深まるはずです。
通常の仕事だけでは得られない“仲間”との経験が、新しいアイデアにどんな光を与えてくれたのか。新規事業案の「最終提案」がますます楽しみになってきました。