安定供給と安全性確保

考え方

西部ガスグループは、重要な社会インフラを担う総合エネルギー企業として、社会へ安定して安全にエネルギーをお届けすることが重要な使命と認識しております。お客さまに安心して快適にお使いいただくために、調達・製造・供給までトータルな「安全体制を構築」し、ご満足いただける「お客さまサービスの向上」に取り組み、当社グループの「つながり」からできる持続可能な社会へ貢献します。

  • ●関連するマテリアリティ:「価値創造領域1」地域のカーボンニュートラル
    「価値創造領域2」地域の安全・安心とレジリエンス

方針

品質・安全性の向上と防災方針

脱炭素に向けた低炭素経済への移行期においてエネルギーの安定供給を行うとともに、各地域の暮らしと産業に適したエネルギーの選択肢を提供します。
エネルギー供給のバリューチェーン全体で安定供給体制と災害時の対応力強化を図り、お客様の更なる安全と安心を支えます。

体制

調達→製造→供給

西部ガスでは、災害対策基本法に基づき「防災業務計画」を策定し、大規模災害が発生した場合は、社長執行役員が本部長を務める「総合非常体制」を発令し、適切な防災対策を遂行しています。また、一般社団法人日本ガス協会を通じ、全国の都市ガス事業者が相互に応援を行う体制が構築されています

有事の体制(第三次非常体制)

西部ガスでは、「防災業務計画」を策定しています。この計画は、災害対策基本法第39条第1項に基づき、ガス施設等に係る災害予防、災害応急対策及び災害復旧のためのゥ施策の基本を定めることにより、円滑かつ適切な防災業務活動の遂行を図ることを目的としています。

導管事業者では、「災害時連携計画」を策定しています。この計画は、ガス事業法に基づき、非常事態が発生し、広範囲な供給停止が想定される場合の一般ガス導管事業者相互間の緊急連絡体制及び応援体制等を定めることを目的としています。

目標と進捗

地域のカーボンニュートラル化に向けた連携基盤の強化 
指標 目標 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績 2027年度目標
天然ガス取扱量 LNG取扱量の拡大 79万トン 84万トン 74万トン 100万トン

※国内向け取扱量

安定調達体制のさらなる強化(取扱量拡大/多様なエネルギー源の選択肢拡大)
指標 目標 目標年度
自社起因の重大トラブル(調達) ゼロ件の堅持 2030年度
安定供給体制のさらなる強化(分散型エネルギー社会システムの確立)
目標 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績 2027年度目標
VPP事業の拡大 電源I'調整力として6施設参画(契約電力:355KW) 電源I'調整力公募 8リソース参画 2027年度のエネルギーリソース186kW調達 契約容量185kW
PPA事業の展開(事業用向け) 西部ガステクノソリューションによるオンサイトPPA成約実績2件 オンサイトPPA事業(西部ガステクノソリューション)
2023年度 成約8件(3.2MW)、運開5件(1.3MW)
オンサイトPPA事業(西部ガステクノソリューション)
2024年度 成約8件(4.0MW)、運開10件(5.1MW)
安全安心のためのレジリエンス強化
指標 目標 目標年度 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績
供給設備の経年対策進捗率(導管網の耐震化率) 耐震化率 95% 2030年度 90.2% 90.7% 91.2%
地域の防災力の強化
指標 目標 目標年度 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績
総合防災訓練の開催 全従業員が参加する総合防災訓練の開催(年1回) 毎年 1回/年 1回/年 1回/年
スマート化による地域保安の拡充
指標 目標 目標年度 2022年度実績 2023年度実績 2024年度実績
ドローンによる点検実施状況 対象設備点検 100%実施 2024年度 100% 100% 100%

取り組み

柔軟性の高い調達基盤の構築とインフラの整理による更なるエネルギーサプライチェーンの強化と、レジリエンスが高いエネルギーの安定供給を通じて、お客さま・地域社会の安全・安心を支え続けます。

最適なLNG調達と安定的な需給管理

  • ・柔軟かつ価格競争力のあるLNG調達を検討
  • ・緊急時連携体制の整備など、需給状況に柔軟に対応できる調達基盤を構築

安定供給に向けて

安定供給を図るため、都市ガス原料である天然ガス、LNGの調達先を多様化してきました。また、緊急時に他のエネルギー事業者との間で原料融通を行えるよう、協力体制を整備・強化しています。

安定供給体制

「ひびきLNG基地」は世界最大級の大型LNG船の受け入れが可能な大型基地で、北部九州の天然ガス広域拠点としての役割を担っています。ガスの製造、貯蔵、送出、保安、防災など全体の運転監視を管理センターから集中的にコントロールし、万一の事態にも都市ガスを絶えることなく供給できる体制を整えています。

  • ひびきLNG基地

  • 24時間体制で都市ガスを製造

安定供給・保安の確保に向けた効果的な製造体制の整備

  • ・天然ガスニーズへの対応と安定供給の更なる向上のため、ひびきLNG基地能力増強工事を着実に推進
  • ・リスク評価手法を用いてグループ全体の設備投資を最適化

災害対応訓練および教育の計画的な実施(製造)

地震・津波対策や保安をさらに向上していく取り組みを行い、セキュリティの強化を図り、お客さまに天然ガスを安全・安定的にお届けしていきます。

訓練

地震・津波対応訓練

  • 災害発生時の対応力向上を図ることを目的として、工事毎にシナリオレスによる模擬訓練を行っております。
    2024年度は、7月に西部ガスグループ各社(西部ガス熊本、西部ガス長崎、西部ガス佐世保、ひびきエル・エヌ・ジー、九州ガス圧送、筑後ガス圧送、島原Gエナジー)の計7工場にて訓練を実施しました。
  • 筑後ガス圧送での訓練

工場危機管理対応訓練

  • 緊急時対応力の向上を図ることを目的として、事故(火災・爆発、転落、酸欠、付臭剤漏洩、可燃物漏洩)を想定し、初期・詳細・社外対応訓練を行っています。
    2024年度は、1月に酸欠を想定した内容で、西部ガス佐世保(株)佐世保工場にて、各グループ工場及び生産部が参加して訓練を実施しました。
  • 佐世保工場での訓練

LNGローリ防災研修

  • ローリによるLNGの荷役業務(出荷・輸送・荷卸)での災害を防止およびローリ保安レベル向上を図ることを目的として、LNG防災知識の再確認から、実習による防災技術体験の研修を実施しています。
    2024年度は、西部ガスグループ従業員の他、LNG輸送事業者、他ガス事業者さま、LNG販売先お客さま等を対象に年2回実施し、計46名が参加しました。
  • ひびきエル・エヌ・ジーでの訓練

工場消防訓練

  • 火災発生時の初期対応力の向上を図ることを目的として、工場毎に各種消火設備の取扱訓練を行っています。
    2024年度は、各グループ工場で放水訓練、消火器取扱訓練、屋外消火栓操法訓練等を実施しました。
  • 西部ガス佐世保での訓練

製造教育

  • ガス製造に関わる知識・技能の向上による保安レベルの強化を目的として、外部講師や社内トレーナーによる講習会を実施しています。2024年度は、各グループ工場でメーカーによる講習会、トレーナー教育などを実施しました。製造教育の他にも、外部講師によるヒューマンエラー対策講習会などを実施しています。
  • 機械装置検査教育

パトロール

工場保安パトロール

  • 工場の保安の確保を万全にするため、各工場や生産部から選出されたパトロール員が、それぞれの工場の設備や運用管理方法等の点検を実施しています。2024年度は、九州ガス圧送(株)大牟田工場の保安パトロールを実施し、設備等の改善に繋げました。
  • 大牟田工場での保安パトロール

スマート保安の推進

  • ・ドローンを活用した設備点検や、遠隔監視・ビッグデータの活用により、各工場のトラブル発生リスクを低減
  • ・スマートメーターの先行導入やデジタル技術の活用、LPガス集中監視システムの設置拡大などにより供給保安の高度化と業務革新を実現
  • ・ガス導管の再資源化など、資源循環を意識した取り組みを推進

埋設物照会Web受付

2023年4月より、西部ガス(株)、九州電力送配電(株)および西日本電信電話(株)の3社協業による、埋設物調査の共同Web受付を開始しました。
これまで、道路掘削工事会社は道路掘削工事の都度、複数のライフライン事業者に、電話・FAXもしくは窓口へ直接出向いて申請を行う必要がありましたが、全国初※のワンストップで申請できる仕組みにより、申請いただく皆さまの利便性向上のみならず、建設業界の働き方改革やDX推進などの社会課題解決にも貢献できる取り組みとなっております。

  • ※2023年3月22日時点 NTT西日本グループ調べ

現状・今後

ドローン利活用による橋梁ガス管点検

  • 西部ガスグループが保有する橋梁添架管(橋の下部に設置されたガス管や単独で川を渡しているガス管)の点検業務に、ドローンを活用しています。点検業務の効率化に向けデジタル技術を活用し、課題解決やニーズに沿った価値提供へ挑戦しています。

  • ドローン

Webアプリを活用した遠隔露点計

  • 都市ガス事業者にとって長年の大きな課題となっていました、ガス導管内に水分が侵入してガス供給を阻害する『差水』の解消対策として、『ガス導管内 露点・圧力遠隔管理システム』を導入し、不具合箇所の特定時間の短縮と作業負荷・コスト削減に取り組んでおります。
    このシステムは、ガス導管内の圧力とガス中に含まれる水分量を見える化するWebアプリと通信機能を備え、西部ガスが幹事会社として、都市ガス事業者10社※1、(株)Braveridgeと共同開発、商品化したものです。
    なお、このシステムは、ガス事業およびガス事業者の健全な発展と都市ガスの普及に貢献する優れた技術を表彰する一般社団法人日本ガス協会の「2023年度 技術大賞※2」を受賞しました。

    • ※1 北海道ガス株式会社、北陸ガス株式会社、武州ガス株式会社、京葉ガス株式会社、大多喜ガス株式会社、静岡ガス株式会社、広島ガス株式会社、大分ガス株式会社、宮崎ガス株式会社、日本ガス株式会社
    • ※2 2023年度 技術大賞:https://www.gas.or.jp/pdf/gijutsu/TechnologyAward20230320.pdf
  • 2023年度 技術大賞

相関図

お客さまニーズ対応と安定供給確保に向けたガス供給ネットワークの整備

  • ・将来の需要拡大に対応するため、グループ全体の導管ネットワークを整備
  • ・充填・配送のDXやアライアンス拡大により、LPガス供給体制を強化
  • ・耐震化対策や災害対策訓練などを着実に実施し、災害対応力を向上

天然ガスの普及に向けたインフラ整備

安定供給性の向上と災害や事故に対するセキュリティ強化を図ることを目的として、導管ネットワークの整備を進めています。

九州北部幹線図

  • 導管延長の推移

    導管延長の推移。2023年3月末の導管延長は10,191km。2024年3月末の導管延長は10,221km。2025年3月末の導管延長は10,242km。

  • 九州北部幹線敷設

いつも安定して都市ガスをお届けするために

耐震性・耐食性に優れた材料・工法の導入

ガス管の入替や新設時には、地震に強い管や継手を採用し、地震発生時の導管被害を最小限にとどめるようにしています。

  • 溶接
  • 機械的接合
  • 融着

ガス導管の計画的な取替え

『腐食漏えい予防』と『低圧導管の耐震化』の両面からの効果を目的として白ガス管対策を実施しています。土壌による腐食環境と想定SI値(または震度階)を考慮した優先順位づけを行い、年間約35~45kmの入替を計画して進めています。埋設するガス管には、溶接鋼管の他ダクタイル鋳鉄管、ポリエチレン管など耐震性・耐食性に優れた材料・工法を採用しています。耐震化の指標として、ガス安全高度化計画において、低圧本支管の耐震化率を2030年に95%以上とする到達目標が設定されており、当社もこの目標に準じて実施しています。

  • ポリエチレン管 敷設工事

  • ポリエチレン管の高い変形(耐震)性能
    これだけ伸びても破断しません

白ガス菅対策の目標・白ガス菅対策の棒グラフと耐震化率(本支菅に対する割合)の折れ線グラフ。2022年度の目標・対策は43km、耐震化率は90.2%。2023年度の目標は45km、対策は43km、耐震化率は90.7%。2024年度の目標は45km、対策は45km、耐震化率は91.2%。2025年度の目標は45km、耐震化率は91.7%。

中圧PE(ポリエチレン)管防護材の共同開発

西部ガス、三井化学産資、大東電材が共同で開発し、商品化した『中圧PE(ポリエチレン)管防護材』が、一般社団法人日本ガス協会の「2024年度 技術大賞※」を受賞しました。本防護材は、PE管に巻き付けることで道路掘削工事に用いる重機等の外的衝撃からPE管を防護することを目的に開発しています。

地震防災対策の推進・防災訓練の実施

対策の三本柱 目的 主な取り組み
設備対策 被害を最小限に抑える 地震発生時の導管被害を最小限にとどめるため、耐震性の高いガス管への入替を実施
緊急対策 二次災害を防止する 供給を安全に止めるため、ガバナ遠隔遮断システムの高度化を実施
復旧対策 適切な初動対応と早期復旧 ハード・ソフト両面から幅広く対策を実施(スキル向上と防災意識の高揚のための各種訓練の実施や、平時における事前準備の強化など)
地震防災対策の基本方針

導管網をいくつかの地域にブロック化し、被層の大きな地域へのガス供給を素早く停止

復旧対策

  • 目的:適切な初動対応と早期復旧
  • 方策:ハード・ソフト両面から幅広く対策を実施
    (スキル向上と防災意識の高揚のための各種訓練の実施や、平時における事前準備の強化など)
  • 本社 災害対策室

  • 移動式ガス発生設備(社会的優先度が高い施設に設置し、臨時供給を実施)

地震等災害対策訓練回数

災害対応訓練(社内)の目標・実績、災害共同訓練(自治体等)の目標・実績の棒グラフ。2022年度の社内目標は3回・実績は3回、自治体等の目標は5回・実績は5回。2023年度の社内目標は3回・実績は3回、自治体等の目標は5回・実績は5回。2024年度の社内目標は3回・実績は3回、自治体等の目標は5回・実績は5回。2025年度の社内目標は3回、自治体等の目標は5回。

安定供給体制(供給)

  • 万一の緊急時にも迅速な処理で被害の拡大を防止しお客さまの安全を確保することを目的として、24時間365日受付・出動できる体制を整えています。
    電話受付および初期保安措置完了までの指令業務を担う中央指令部と、現場出動処理と初動措置後の現場管理を担う地区供給部が緊密に連携し、的確かつ迅速に対応を実施することで、さらなる保安の高度化や業務品質の向上を実現しています。

受付・指令体制

ガス供給の指令塔となる中央指令部が北部九州一円への都市ガスの供給を一元管理することで、万一のトラブルや災害への迅速な対応を可能としています。
福岡市と北九州市の両都市圏と熊本・長崎・佐世保などに、都市ガスを安定かつ安全にお届けしています。

受付・指令体制

  • 緊急車輌

  • 架管点検

  • 保安指令室

保安人財の育成

将来にわたり『保安の確保』と『安定供給』を実行するために、供給分野における各業務について8つの育成フィールドを設定し、専門的な知識・技能の更なる向上を図る事で、職場の核となる保安人財の育成を行っています。

  • 8つの育成フィールド

  • ガバナ操作実習

  • メータ組み配管実習

安定供給体制のさらなる強化(分散型エネルギー社会システムの確立)

地域社会の低・脱炭素化への貢献および災害時における安定供給体制を強化すべく、燃料電池や太陽光発電設備、蓄電池など、分散型エネルギーシステムの普及拡大を図ります。

  • 分散型機器拡大によるレジリエンスの向上

    省エネ・省CO2促進およびレジリエンス(安定供給・安全確保)強化の観点から、分散型エネルギーの家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」、ガスコージェネレーションシステム「CGS」、太陽光発電、蓄電池の普及を進めています。

  • JCSI

分散型エネルギーリソースの展開

再生可能エネルギーを活用したPPAやVPPなどの新たなサービスの創出やビジネスモデルの構築に取り組み、自治体や地元企業と連携しながら地域のエネルギー課題の解決に取り組みます。

  • ※PPAとは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)の略
  • ※VPPとは、Virtual Power Plant(仮想発電所)の略

VPP事業の拡大

西部ガスは、分散型電源をまとめて制御するVPP(仮想発電所)事業に参画しています。経済産業省が2020年度に実施した「令和2年度 需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」へ、コンソーシアムを通じて参加するなど、ディマンドリスポンス※をはじめとするエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスを推し進めています。
2023年度は、都市ガス製造工場が保有する負荷設備を含め、グループ会社等が保有するガスコージェネレーションシステムなど8施設のリソースを束ねてVPPへ取り組んでおり、2025年度以降は容量市場に参入しています。

  • ※ディマンドリスポンスは、電気の供給状況に応じて電力ユーザー(需要家)が電気の消費パターンを変化させ、需給バランスを保つことをいいます。電力ユーザーは、一般送配電事業者等からの要請に応じて節電等を実施し、購入電力の抑制量に応じた報酬を得ることができます。非効率なピーク電源を不要にし、将来的な発電容量の適正化と、安定した電力供給や調整コストの低減に寄与する仕組みとして期待されています。