気候変動に対する移行計画
気候変動に対する移行計画の位置づけ
西部ガスグループは、エネルギー事業者として、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを加速させています。2021年には「西部ガスグループ カーボンニュートラル2050」を策定し、2050年カーボンニュートラルの実現に挑戦する方針を発表しました。翌2022年には、その方針をより具体化し、取り組みを推進するために「カーボンニュートラルアクションプラン」を策定し、2050年達成に向けた2030年までのロードマップを公表しました。
当社グループは長期ビジョン「西部ガスグループビジョン2030」における戦略として「地域のカーボンニュートラル」と「サステナビリティ経営の推進」を戦略の柱に掲げ、事業活動全体で低・脱炭素化を進めるとともに、地域社会との連携を強化しています。
さらに、長期ビジョンに基づきマテリアリティの特定・見直しを行い、「地域のカーボンニュートラル」をマテリアリティとして設定しました。エネルギーの低炭素化や電源の脱炭素化等のテーマごとに行動計画を策定し、進捗を管理しています。
事業戦略との連動については、中期経営計画「ACT2027」で重点取り組みの一つに「カーボンニュートラルへの取り組み推進」を掲げ、関連する目標を設定しました。各部門・グループ会社が事業計画に落とし込み、着実な実行を図っています。
本移行計画は、こうした長期ビジョンや中期経営計画、さらにTCFD提言に基づく開示などの取り組みを整理し、カーボンニュートラルに向けた行動や目標をまとめたものです。
全体像
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当社グループは、「天然ガスシフト」「ガスの脱炭素化」「電源の脱炭素化」の3つの柱を軸に、カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップに沿って取り組みを進めています。2030年に向けた主要目標は右図のとおりです。施策については「アクションプランの具体的な取り組み」に記載しています。
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特に、天然ガスは化石燃料の中でもCO2排出量が少ないクリーンなエネルギーであり、移行期における重要な役割を担います。当社は天然ガスシフトを強力に推進し、サプライチェーン全体でCO2削減に貢献します。
また、当社グループがカーボン・オフセットLNGやe-methane(合成メタン)の提供等を通してガスの脱炭素化を推進することは、お客さま先におけるCO2削減に貢献するという大きな価値を提供し得るものであり、カーボンニュートラルの潮流の中で当社グループにとって重要な成長機会となると認識しています。
- ※1:当社グループおよびお客さま先における2030年断面のCO2排出削減貢献量(2020年~)
- ※2:当社グループおよびお客さま先のCO2排出量(約300万トン/年)の約2分の1に相当
- ※3:国内外における電源開発、FIT電源、調達を含む
- ※4:供給するガス全体にカーボンニュートラル化したガス(メタネーション、水素、バイオガス、カーボン・オフセットLNG等の手段で製造または調達したガス)が占める割合
ガバナンス
本移行計画の実行に責任を有するのは、気候関連事項における自社の経営責任を負っている社長執行役員です。
西部ガスのカーボンニュートラル推進部を中心に計画を推進し、その進捗状況は原則年1回、サステナビリティ委員会にて報告・審議されます。最終的には経営会議を経て取締役会に報告され、取締役会がその実行状況を監督できる体制を整えています。
また、本移行計画の目標や実績は当社ホームページで開示し、透明性を確保しています。さらに、排出量計算の正確性を担保するため、第三者保証を取得しています。
詳細は、気候変動のガバナンスをご参照ください。
リスク管理
当社グループは、気候変動に関連するリスクを体系的に管理しています。本移行計画に関連するリスクはサステナビリティ委員会で審議し、重要リスクはグループガバナンス委員会で特定します。特定されたリスクは、当社のリスク管理規程に基づき評価され、軽減・移転・受入・制御といった対応が検討されます。対応方針はサステナビリティ委員会で審議され、経営会議を経て取締役会が監督します。
戦略
1.戦略の方向性
当社グループは、日本ガス協会の「カーボンニュートラルチャレンジ2050」や「ガスビジョン2050」、パリ協定、日本政府の目標と整合した方針として、2021年に「西部ガスグループカーボンニュートラル2050」を策定しました。
この方針に加え、将来の不確実性を評価するため、当社グループは気候変動に対する戦略的対応として、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施しています。1.5℃および4.0℃の気温上昇シナリオにおいて、政策・市場・技術・物理的リスクと機会を評価し、グループ全体の気候変動対策を推進しています。
当社グループは、アクションプランで定めた「天然ガスシフト」「ガスの脱炭素化」「電源の脱炭素化」という3つの柱を中心に取り組みを進めています。シナリオ分析で特定されたリスクと機会についても、これらの柱に沿った対応を行っています。
2.シナリオ分析(気候変動に対する移行計画)
当社は、本移行計画の実効性を評価するため、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオを参照し、1.5℃および4.0℃のシナリオに基づく分析を実施しました。
設定したシナリオ
1.5℃シナリオ:気候変動政策が強化されているシナリオ
パリ協定に整合したシナリオであり、日本が2021年10月22日に提出したNDC(2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減、2050年カーボンニュートラル達成)を前提としています。国際エネルギー機関(IEA)が策定したWEO NZE 2050シナリオを参考としています。
4.0℃シナリオ:気候変動政策が停滞しているシナリオ
日本のNDCが達成されず、日本政府が掲げる政策(第7次エネルギー基本計画やグリーン成長戦略等)が計画通り実行されない前提のシナリオです。国際エネルギー機関(IEA)のWEO STEPSシナリオを参考としています。
分析結果
1.5℃シナリオ(WEO NZE 2050)
| リスク |
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|---|---|
| 機会 |
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| 対応策 |
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4.0℃シナリオ(WEO STEPSシナリオ)
| リスク |
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|---|---|
| 機会 |
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| 対応策 |
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これらの分析結果を踏まえ、当社はシナリオ別のリスク・機会およびその影響を考慮し、アクションプランで定めた「天然ガスシフト」「ガスの脱炭素化」「電源の脱炭素化」の3つの柱を中心に、本移行計画の実行を推進しています。
目標の達成可能性
1.5℃シナリオを想定した場合、天然ガスの安定供給という課題へ適切に対応する(複数の調達先と契約を行う・調達先の情報収集を積極的に行いながら調達量のバランスの見直し等を定期的に実施する)ことで、目標を上回るCO2削減貢献量を達成する可能性が高いと見込んでいます。また、ガスのカーボンニュートラル化率に関しても旺盛な需要に支えられ、目標を上回るガスのカーボンニュートラル化率を達成する可能性が高いと見込んでいます。再生可能エネルギーの開発・調達に関しては、開発競争の激化という課題はあるものの、洋上風力発電など新たな電源種の開発や非FITによる開発、また他社が運営する再エネ電源からの調達を上手く組み合わせいくことで、目標としている再エネ電源取扱量を達成可能と考えています。
一方で4.0℃シナリオを想定した場合、アクションプランを見直すことで目標値(CO2排出削減貢献量・再エネ電源取扱量・ガスのカーボンニュートラル化率)は達成できる見込みです。
3.シナリオ分析(エネルギー事業)
気候変動に関連する当社グループのエネルギー事業を取り巻くリスクと機会について、TCFD提言に基づき整理しています。本シナリオ分析で抽出した対応策については、当社のカーボンニュートラルアクションプランで定めた3つの柱(天然ガスシフト、ガスの脱炭素化、電源の脱炭素化)との関連性も図示しています。これらの分析結果も踏まえ、当社は本移行計画の実行を推進しています。
| 事業への影響 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| カテゴリー | シナリオ | ドライバー | 短中期 | 中長期 | 対応策 | カーボンニュートラル アクションプラン 3つの柱 |
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| リスク | 移行 | 市場 | 1.5℃ | 電化の進展 | 家庭用・業務用設備の電化によるガス売上げ減少 | 家庭用・業務用設備の電化による更なるガス売上げ減少 |
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天然ガスシフト ガスの脱炭素化 |
| 市場 | 1.5℃ | (トランジション期における)天然ガスの需要 | 国内外の需要増加に伴う調達 コストの増加 |
― | ||||
| 市場 | 4.0℃ | 天然ガスの需要 | 国内外の需要増加に伴う調達 コストの増加 |
海外の需要増加に伴う調達コストの更なる増加 | ||||
| 技術 | 1.5℃ | ガス技術の進展(メタネーション、水素等) | ー | 脱炭素の競争力劣後によるガスの売上減少 | ||||
| 評判 | 1.5℃ | 投資家の評判変化 | 化石燃料関連事業の資金調達力の低下 | 化石燃料関連事業からの投資撤退 | ||||
| 政策・規制 | 1.5℃ | 炭素価格(炭素税) | 社施設における、ガス供給コストの増加 | 施設における、ガス供給コストの更なる増加 | ||||
| 物理 | 急性 | 4.0℃ | 異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等) | ガス供給障害や復旧費用の増加 | ガス供給障害や復旧費用の更なる増加 |
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| 慢性 | 4.0℃ | 平均気温の上昇 | ー | 家庭でのガス使用量減少による売上減少 | ||||
| 機会 | 市場 | 1.5℃ | 再エネ価値 | 環境意識の高まりによる価値提供・販売機会の拡大 | 再エネ由来電気販売の拡大 |
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電源の脱炭素化 天然ガスシフト ガスの脱炭素化 |
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| 市場 | 1.5℃ | (トランジション期における)天然ガスの需要増 | 国内外の燃料転換による販売量増加と基地利用拡大 | ― | ||||
| 市場 | 4.0℃ | 天然ガスの需要増 | 国内外の燃料転換による販売量増加と基地利用拡大 | 海外の燃料転換による販売量増加と基地利用拡大 | ||||
| 技術 | 1.5℃ | ガス技術の進展(メタネーション、水素等) | ー | ethane等脱炭素技術に-eよる売上増加 | ||||
アクションプランの具体的な取り組み
カーボンニュートラルアクションプランで掲げた3つの柱を実現するため、当社グループは具体的な取り組みを設定しました。以下にその概要を示しています。
| Action1 | Action2 | Action3 | ||
|---|---|---|---|---|
| 天然ガスシフト | 概要 | 石油・石炭から天然ガスへの燃料転換 | 省エネ高効率機器の拡大 | グローバルエネルギー事業の拡大 |
| アクションプラン |
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| ガスの脱炭素化 | 概要 | カーボン・オフセット都市ガス/LNG/LPGの導入やクレジットの活用拡大 | メタネーション実証 | バイオガス・水素の利用 |
| アクションプラン |
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| 電源の脱炭素化 | 概要 | 再生可能エネルギーの開発・調達 | 再生可能エネルギーの普及 | ひびき発電所の稼働 |
| アクションプラン |
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| 事業活動 | 概要 | グループ施設の低・脱炭素化 | 森林保全の推進 | 働き方改革による省エネ推進 |
| アクションプラン |
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指標と目標
本移行計画における当社の目標は次の通りです。なお、目標1〜3はすべて、マテリアリティの「地域のカーボンニュートラル」の中で指標として定めており、マテリアリティ行動計画に沿ってサステナビリティ委員会において進捗が報告されています。
実績につきましては、「気候変動」を参照ください。
目標1
| 目標 | KPI | 2027年度 | 2030年度 |
|---|---|---|---|
| CO2排出削減貢献量 | 当社グループ及びお客さま先のGHG削減量 | 87万トン | 150万トン |
目標2
| 目標 | KPI | 2027年度 | 2030年度 |
|---|---|---|---|
| 再エネ電源取扱量 | 再エネ電源取扱量(kW) | 13万kW | 20万kW |
目標3
| 目標 | KPI | 2027年度 | 2030年度 |
|---|---|---|---|
| ガスのカーボンニュートラル化率 | 供給するガス全体に占めるカーボンニュートラル化したガスの割合 | ― | 5.0% |
削減貢献量の考え方
経済産業省が示したガス分野における技術ロードマップでは、社会全体として天然ガスの燃料転換が推進されることで、お客さま先でのCO2排出量が抑制される一方で、ガス需要量が増加し、短・中期的に供給サイド(ガス事業者)のCO2排出量は増加することが示されています。これを受け当社グループでは、SCOPE3のCO2排出量は今後増加するものの、社会全体のCO2排出量抑制を削減貢献量とする取り組みを推進していきます。
ステークホルダーエンゲージメント
業界団体やプロジェクトへの参画、産学官連携の詳細は「気候変動の取り組み」をご参照ください。
従業員へのエンゲージメント
当社グループは、グループ従業員を対象にした社内表彰制度に「サステナビリティ賞」を設けており、本移行計画で掲げられた目標への貢献を含むサステナビリティに対する取り組みへの意欲醸成を図っています。