サステナビリティの重要課題(マテリアリティ)
マテリアリティ選定の経緯・考え方
マテリアリティ(重要課題)
西部ガスグループは、「西部ガスグループビジョン2030」で掲げた「サステナビリティ経営の推進」にあたり、社会の持続可能性の実現と企業の長期にわたる価値創造に向けて企業が最優先で取り組む課題をマテリアリティとして特定しました。多様なステークホルダーとの対話を大切にし、環境・社会・経済の持続性に配慮した経営を推進してまいります。
マテリアリティの特定プロセス
- ●STEP1 課題の抽出
- ESG開示基準およびESG評価機関の評価項目、GRIスタンダードやSDGsなどで示されているサステナビリティ課題項目を参照し、マテリアリティ候補項目として抽出しました。抽出にあたっての課題整理においては、グループの中長期ビジョン検討の際に重視した社会課題項目や、他社の取り組み動向調査結果を踏まえグループの今後の取り組み/開示改善において考慮しておきたい社会課題項目等の視点等からも検証を行いました。
- ●STEP2 課題の優先順位付け
- 「環境・社会(人々)へのインパクト」と「西部ガスグループの長期にわたる価値創造へのインパクト」の視点に基づき、STEP1で抽出したマテリアリティ候補項目を評価。マテリアリティ・マトリックスにプロットし、重要度の優先順位付けを行いました。
- ●STEP3 マテリアリティの特定
- マテリアリティ・マトリックスにおいて、上記のとおり重要領域を定め、同領域内に位置する12項目を、サステナビリティ委員会にて審議した後、取締役会での決議を経て、マテリアリティとして特定しました。
- ●STEP4 情報開示・今後の取り組み
- 特定したマテリアリティをホームページに開示し、2022年度に、「西部ガスグループビジョン2030」の実現を支える位置づけとして、マテリアリティを軸としたサステナビティ取り組み体系を整理しました。現在は、行動計画のもとに、PDCAサイクルを回し推進しています。
マテリアリティの全体像
- ●気候変動への対応
- エネルギー移行期を捉えた低炭素エネルギーの拡大に貢献し、エネルギーの低炭素化に取組みます。
- ●エネルギーへのアクセス
- 多様なエネルギー源の選択肢や取扱量を拡大させ、各地域の暮らしと産業に適したエネルギーへアクセスを確保し、安定供給体制のさらなる強化を実現します。
- ●品質・安全性の向上と防災
- 当社グループ全体のバリューチェーンにおける防災やレジリエンスの強化を行い、災害時も強いエネルギーインフラの実現に取組みます。
- ●サステナブルなくらしの推進
- 団地再生や地域コミュニティに力点をおいたまちづくり活動の推進や、エネルギーの有効利用を目指した地域開発サービスの拡充に取組むことで、安心して住み続けられるまちづくりを目指します。
- ●地域のビジネスと経済の発展
- 自治体や地域企業との価値協創のシステムを構築し、地域経済の発展を支えるビジネス創出基盤の強化を行います。
- ●資源循環の推進
- サーキュラーエコノミーを推進し、ガス管等の再資源化、導管工事における掘削土の抑制に取組みます。
- ●持続可能な調達の推進
- サプライヤーと共に製品・サービスの環境・社会配慮に取組むことで、持続可能なサプライチェーン・マネジメントの強化を行います。
- ●地域コミュニティへの参画
- 当社グループの事業拠点地域のステークホルダーと良好な関係性を構築し、各事業拠点地域の社会課題の解決に取組みます。
- ●従業員エンゲージメントと能力開発
- 教育プラットフォームの構築や人財マネジメントの最適化に取組むとともに、自律的キャリア形成の支援や変革をリードする次世代リーダーを育成することで、未来を変える価値創造に向けた人財基盤の確立を目指します。
- ●ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進
- 当社グループにおけるダイバーシティ推進計画を策定し、多様な人々が活躍する組織を実現します。
- ●グループガバナンスとコンプライアンスの強化
- コンプライアンス意識の啓発や知識の定着のためのコンプライアンス研修や教育を継続して実施するとともに、グループ全体でのコンプライアンス体制を整え、当社グループ全体でコンプライアンスを徹底します。
- ●リスクマネジメントの強化
- グループ共通の規程類やリスクの評価基準および台帳の整備、グループ経営に重大な影響を及ぼす重要リスクを主管する部門の設置などによる取締役会の監督機能を強化し、ステークホルダーから信頼されるリスク管理を目指します。
行動計画
マテリアリティに対応する取り組み課題と目標は、「西部ガスグループビジョン2030」と連動しています。
ビジョン2030 | マテリアリティ (重要領域) |
取り組みテーマ | 指標(KPI) | 目標 | 目標年度 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | 関連する SDGs |
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戦略1
地域のカーボンニュートラルの実現 |
@ 気候変動への対応 |
エネルギーの低炭素化 (天然ガスシフト) |
・石油、石炭からの燃料転換、省エネ高効率機器の販売、海外事業の推進によるCO2排出削減貢献量 | ・CO2排出削減貢献量 58万トン | 2030年度 | 28万トン/年 | 28万トン/年 |
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ガスの脱炭素化 (メタネーションや水素利用) |
・カーボンオフセット都市ガス/LNGの販売およびe-methane(合成メタン)の導入によるCO2排出削減貢献量およびガスのカーボンニュートラル化率 | ・CO2排出削減貢献量 37万トン | 2030年度 | 0.8万トン/年 | 1万トン/年 | |||
・ガスのカーボンニュートラル化率 5% | 2030年度 | 0.4% | 0.4% | |||||
調達電源の低炭素化 (排出係数の低減) |
・ひびき発電所の稼動および小売電気事業における非化石電源化率上昇によるCO2排出削減貢献量 | ・CO2排出削減貢献量 46万トン | 2030年度 |
・ひびき発電所稼働に向け、2023年1月建設工事開始 ・非化石証書の調達については、ワーキングを立ち上げ、目標達成に向けた詳細協議を開始 |
・非化石証書の保有事業者と調達の交渉を開始 | |||
電源の脱炭素化 (再生可能エネルギーの普及拡大、燃料の水素・アンモニアへの転換) |
・再エネ電源の開発、調達による再エネ電源取扱量およびCO2排出削減貢献量 | ・再エネ電源取扱量 20万kW | 2030年度 | 5.1万kW | 6.1万kW | |||
・CO2排出削減貢献量 6万トン | 2030年度 | 0.9万トン/年 | 1.4万トン/年 | |||||
事業活動における低・脱炭素化 | ・グループ施設の低・脱炭素化、社用車EV化、ペーパーレスおよび森林保全活動の推進 | ・CO2排出削減貢献量 3万トン/年 | 2030年度 | 0.06万トン/年 | 0.1万トン/年 | |||
・CO2排出原単位削減 | ・対前年1%削減 | 対前年1%削減 | ||||||
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@51.5s-CO2/m2 | @2023年度 | @53.1s-CO2/m2※ | @48.4s-CO2/m2 | ||||
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A15.7g-CO2/m3N | A2023年度 | A15.4g-CO2/m3N | A15.4g-CO2/m3N | ||||
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B60.0s/GJ | B2023年度 | B59.6s/GJ | B56.4s/GJ | ||||
・CO2総排出量削減 (対象:連結子会社 ※1) (範囲:スコープ1・2) |
2021年度比 2万トン削減 | 2030年度 | 新規目標 | 902トン削減 (総排出量 79,377t) |
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A エネルギーへのアクセス |
安定供給体制のさらなる強化 (取扱量拡大/多様なエネルギー源の選択肢拡大) |
・LNG取扱量 | ・LNG取扱量の拡大 (2021年度実績値は68万トン) |
2025年度 | 79万トン | 84万トン |
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安定供給体制のさらなる強化(分散型エネルギー社会システムの確立) | ・家庭用燃料電池(エネファーム)の提供数 | ・935台 | 2024年度 | 1,713台(目標1,800台) | 1,388台(目標1,540台) | |||
・分散型エネルギーリソースの展開の有無 (ガスコジェネ、エネファーム等ガス機器の分散型リソースを除く) |
@VPP事業の拡大 APPA事業の展開(事業用向け) |
2025年度以降 | @電源T'調整力として6施設参画(契約電力:355KW)A西部ガステクノソリューションによるオンサイトPPA成約実績2件 | @電源T'調整公募 8リソース参画AオンサイトPPA事業(西部ガステクノソリューション) 2023年度 成約8件(3.2MW) 運開5件(1.3MW) |
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B 品質・安全性の向上と防災 |
安全安心のためのレジリエンス強化 | ・供給設備の経年対策進捗率(導管網の耐震化率) | ・耐震化率 95% | 2030年度 | 90.20% | 90.7% |
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地域の防災力の強化 | ・総合防災訓練の実施 | 全従業員が参加する総合防災訓練の開催 1回/年 |
毎年 | 1回/年 | 1回/年 | |||
スマート化による地域保安の拡充 | ・ドローンによる点検実施状状況 | ・対象設備点検 100%実施 ・運用定着 |
2024年度 | 100% | 100% | |||
戦略2
サステナブルな暮らしや地域社会を支える価値の共創 |
C サステナブルなくらしの推進 |
安心して住み続けられるまちづくり | ・地域社会における課題解決に資する仕組みづくり (提案件数/活動件数) |
・提案件数 4件/年 | 2024年度 | 提案件数 4件 (目標4件) |
提案件数 4件 (目標4件) |
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・活動件数 80件/年 | 活動件数 64件 (目標36件) |
活動件数 109件 (目標36件) |
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多様なニーズにこたえるくらしの基盤の実現 | ・ピークシフト節電キャンペーンの実施お客さま件数 | 節電キャンペーン 15,000件 | 2024年度 | 27,000件 (目標10,000件) |
17,000件 (目標25,000件) |
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D 地域のビジネスと経済の発展 |
地域経済の発展を支えるビジネス創出基盤の強化 | ─ | ・対事業者、対地域の連携に向けた関係構築と新規事業の創出 | 2024年度 | 周辺14自治体へアプローチし、脱炭素や地域創生等について連携協議を実施(福岡市、宗像市、北九州市、古賀市) | ・久山町とグリーンインフラモデル形成に関する包括連携協定締結 ・閣alikiとの社会課題解決型の新規事業共創に向けたパートナーシップ契約締結 |
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戦略1/2 戦略1/2の基盤となるバリューチェーンと地域コミュニティの発展 |
E 資源循環の推進 |
廃棄物等の削減と循環利用の推進、ガス管等の再資源化、導管工事における掘削土抑制 | ・工事・オフィス産業廃棄物:最終処分率 | ・3.6%(前年度より0.1%削減) | 2023年度 | ・4.1% | ・11.6% |
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・工場産業廃棄物:再資源化率 | ・94.0%以上 | 2023年度 | ・95.9% | ・99.1% | ||||
・導管工事における統合指標 | ・19.8% | 2023年度 | ・13.9% | ・16.8% | ||||
・金属管・PE管廃材の再資源化 | ・100% | 2023年度 | ・100% | ・100% | ||||
・ガスメーター再生利用率 | ・89.0% | 2023年度 | ・98.4% | ・98.8% | ||||
・取水量 | ・457千m3(2021年度実績より毎年1%ずつ削減) | 毎年 | ・440千m3 | ・457千m3 | ||||
・ガス製造工場における産業廃棄物の抑制:再資源化率 | ・95%以上 | 2025年度 | ・新設目標 | ・99.1% | ||||
・工事・オフィスにおける産業廃棄物の抑制:再資源化率 | ・95%以上 | ・88.4% | ||||||
・導管工事における新規土砂の使用量削減(統合指標の抑制) | ・20%未満 | ・16.8% | ||||||
・金属管・PE管廃材の再資源化 | ・100%以上 | ・100% | ||||||
・使用済みガスメーター(都市ガス)再生利用率 | ・95%以上 | ・98.87% | ||||||
・取水量 | ・前年度実績より削減 | ・457千m3 | ||||||
・オフィスにおける一人あたりのコピー/プリンター用紙の使用量削減 | ・21.5kg/人以下 | ・18.24kg/人 | ||||||
・事務用品のインターネット購入によるグリーン購入率 | ・50%以上 | ・62.6% | ||||||
食品ロス・廃棄の削減 | ・フードロス削減ショッピングサイト“ecoto”のサービス利用先の拡大 | ・グループ会社と連携してのPR活動 2件以上/年 | 2024年度 | ・継続した取り組みの推進 | PR活動2件/年実施 | |||
F 持続可能な調達の推進 |
持続可能なサプライチェーン・マネジメントの強化 | ・「グループ購買の基本方針」「お取引先さま購買ガイドライン」の周知率 | ・主要お取引先への周知率 100% | 2024年度 | ・主要お取引先への周知率100% | ・主要お取引先への周知率100% |
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・お取引先調査 回収率 | ・回収率 90% | ・お取引先調査の回収率100% | ・お取引先調査の回収率100% | |||||
・取引に関する満足度 | ・満足度 90% | ・満足度95% | ・満足度91% | |||||
G 地域コミュニティへの参画 |
各事業拠点地域の社会課題の解決 | ・包括連携協定締結数 | ・行政との包括連携協定の締結数の増加 | ─ | 包括連携協定締結数 5件 (古賀市、福岡市、宗像市、北九州市、長崎市) |
包括連携協定締結数 7件 (古賀市、福岡市、宗像市、北九州市、長崎市、佐世保市、久山町) |
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戦略3
未来志向で価値創造の基盤を強化 |
H 従業員エンゲージメントと能力開発 |
未来を変える価値創造に向けた人財基盤の確立 | ・グループ教育プラットフォームの構築 | ・グループ教育プラットフォームの利用をグループへ展開 | 2023年度 | ・5社導入 | ・12社導入 (対象会社※2) |
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部門デジタル人材の育成(累計)対象会社※2 ・デジタル推進リーダー ・RPA開発者 |
・デジタル推進リーダー:220名 ・RPA開発者:193名 |
2025年度 | 新設目標 | ・デジタル推進リーダー:137名 ・RPA開発者:145名 |
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デジタルリテラシー教育受講率 | 80%以上 | 2025年度 | 新設目標 | 76%以上 | ||||
従業員の働きがい向上 | ・従業員意識調査 | ・従業員エンゲージメントの維持・向上 | 毎年 | ・維持 従業員意識調査の実施(10月) グループ会社報告会(2月) |
・維持 | |||
健康経営の推進 | ・災害度数率※3 (休業災害・不休災害) |
0% | 毎年 | 6.40% | 11.33% | |||
I ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進 |
多様な人々の活躍する組織の実現 | 男性育休取得率 対象会社※4 (男性育休取得数/配偶者出産数) |
100% | 2030年度 | 新規目標 | 90.6% |
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女性活躍推進 | ・女性管理職率 対象会社※4 |
15% | 2030年度 | 新設目標 | 3.8% | |||
・女性管理職数 | 10人 | 2023年度 | 5人 | 5人 | ||||
J グループガバナンスとコンプライアンスの強化 |
グループとしてのコンプライアンスの徹底 | ・重大なコンプライアンス違反件数 | ・発生 0件 | 毎年 | 発生0件 | 発生0件 |
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グループとしてのガバナンスの強化 | ・コーポレートガバナンス・コード未遵守コード数 | ・0コード | 毎年 | 0コード | ・0コード ・CGコードの未遵守(エクスプレイン)コードなし |
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K リスクマネジメントの強化 |
気候変動を含むサステナビリティに関わるリスクのマネジメント | 取締役会の監督機能強化を含む「リスク管理体制の再構築」 ・重要リスク管理を38社(※2)に展開 |
・ 完了 | 2024年度 | ・リスク管理に係る規程類の制定・改定 リスク管理規程に「取締役会への定期的な報告」を明記 ・重要リスク管理のための重要リスク主管部門とリスク管理部門を設定 |
・リスク管理に係る要領の制定・改定 ・重要リスク管理をSG5社に展開 (対象会社:西部ガスホールディングス、西部ガス、西部ガス熊本、西部ガス長崎、西部ガス佐世保) |
─ |
SDGsとの関係性
西部ガスグループのマテリアリティの取り組みは、持続可能な開発目標(SDGs)※の17の目標のうち、13の目標に関係性があることを認識しており、引き続きSDGsの達成に貢献してまいります。