トップメッセージ

加藤卓二

はじめに

西部ガスグループは、前身となる西部ガスが1930年に設立されて以来、さまざまな環境変化に直面しながら、自らも変わり続けることでお客さまへ新たな価値を提供し続けてきました。2021年に西部ガスホールディングスを純粋持株会社とするグループ体制に移行した後も、お客さまと 真摯に向き合い、地域社会の発展に貢献することで、みなさまから選ばれ続ける企業グループを目指しています。

当社グループを取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、エネルギー情勢の変化、デジタルの急速な発展、さらにはカーボンニュートラルなどの持続可能な社会を目指す動き、といったかつてない大きな変化を迎えています。そうした変化をチャンスと捉え、2030年の創立100周年、さらにその先へ向けて企業価値の創造に取り組んでいく当社グ ループの姿を、ステークホルダーのみなさまにより深くご理解いただくため、このたび新たに統合報告書を発行する運びとなりました。

経営にかける思い

私は2024年4月に現職に就きました。それ以来、一貫して目指しているのは、グループ従業員が自分の持ち場にもっと「自信」と「誇り」を持って、毎日明るく、元気に楽しく、ワクワクしながら「能動的」、「革新的」、「横断的」に働けるようなグループ経営です。

そして、私自身は、自然体でありのままをさらけ出し、ひとつひとつの出来事に右往左往しない「木鶏」のように超然とした経営者像を理想としています。

社長としての私の責務は、株主のみなさまへ安定した配当を続けるとともに、グループ従業員約4,000人とその家族が健やかに生活できる水準の利益を上げ続けること、後進の世代にグループ事業のあり方や将来的な方向性を示すことだと考えています。

加藤卓二

それを実現するための方策のひとつが、総事業費約500億円をかける「ひびきLNG基地の能力増強」です。経営者は会社と従業員の未来に責任を負っている以上、不確実な状況にあっても、充分なリスク想定や応策を検討のうえ、果敢に決断・実行しなければなりません。人は誰しも、行動するリスクを回避するために行動しない選択をしてしまう「オミッションバイアス(現状維持を望む心理作用)」に囚われがちですが、それを振り払い、チャレンジしなければ未来への道は拓けないと信じています。計画を入念に検討し練り上げたら、後はそれを全力で実行する。これは私が座右の銘としている「知行合一」の実践でもあります。

さらに、当社グループには、約100年に亘って培ってきた「安全・安心」のブランド価値と、その上に成り立つお客さまからの「信頼」という大きな財産があります。それは、泥臭く一軒一軒のお客さまに寄り添った事業活動を脈々と続けてきた賜物であり、言わばそれが当社グループのDNAです。これからも、そのDNAを受け継ぎ、強化しながら、ステークホルダーのみなさまの期待に応え続けてまいります。

前・グループ中期経営計画「Next2024」の振り返り

前・グループ中期経営計画「Next2024」(2022〜2024年度)を振り返ると、最も重視していた経営指標の経常利益に加え、売上高・自己資本比率の目標を達成することができました。特に、経常利益の目標はチャレンジングな水準だったのですが、それを達成できたことは今後に向けての大きな自信となりました。かねてから注力してきた事業構造の変革が進み、ガスエネルギー事業を中心に、電力その他エネルギー事業、不動産事業、食関連その他事業が、グループ全体としてバランスの良いポートフォリオを形成できてきた成果であると考えています。

一方で、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)については目標未達に終わりましたが、株主・投資家のみなさまが期待するリターンを生み出し続けることは上場企業としての責務ですので、今後はさらに資本コスト経営を追求し、資本収益性を高めてまいります。



グループビジョン2030年と未来像


グループビジョン2030年と未来像
グループビジョン2030年と未来像

2021年、当社グループの長期的な経営方針として、「西部ガスグループビジョン2030」と「西部ガスグループカーボンニュートラル2050」を相次いで策定しました。それ以降も外部環境は目まぐるしく変化していますが、当社グループが目指す姿そのものに変化はありません。 カーボンニュートラル実現に向けたプロセスにおいて、当社グループにとって大きなビジネスチャンスとなるのが、石油・石炭から天然ガスへの燃料転換に伴うトランジション需要です。それを徹底的に掘り起こし、長期的な収益基盤を確保します。

本年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、燃料転換などを通じた天然ガスシフトの進展が環境負荷低減に寄与することや、LNG(液化天然ガス)の「安定調達と供給体制の確保」の重要性などが明記され、天然ガスは「カーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源」として一定のプレゼンスが示されました。さらに、水素と二酸化炭素(CO2)を原料とする合成メタン(e-メタン)が、「カーボンニュートラル実現に向けた鍵となるエネルギー」のひとつに位置付けられました。

また、当社グループの事業基盤である北部九州は、経済・産業が活性化していることに加え、旺盛なLNG取引が見込まれるアジア圏に近く、グローバルビジネスを推進するうえで地理的優位性が高い地域でもあります。

当社グループはこのような追い風を確実に捉えるべく、必要な軌道修正を加えながら、創立100周年となる2030年やその先の2050年に向けた取り組みを進めてまいります。



ACT2027


ACT2027
新・グループ中期経営計画「ACT2027」の推進

このたび、当社グループが社会の持続可能性の実現と長期にわたる価値創造に向けて最優先で取り組む課題である「マテリアリティ」を7つに整理・集約するとともに、2025〜2027年度を計画期間とする新・グループ中期経営計画「ACT2027」を策定しました。この「ACT」という言葉には、「より積極的に(ACTIVE)行動(ACTION)し、当社グループを活性化(ACTIVATE)する」という意味を込めています。

 本計画の3年間は、「ガスエネルギー事業の一層の強化」と「事業多角化」の両立を実現する期間と位置付け、ガス(都市ガス・LPガス・LNG)と電力を中心とするエネルギー事業の成長を加速するとともに、不動産事業の安定的な収益確保に取り組み、利益の最大化を目指します。同時に、グループ経営管理の高度化を進め、資本効率の向上を図ります。  そして、これらを実現するための全社戦略の柱となるのが、@サステナビリティ経営Aグループネットワーク経営B資本コスト経営の3つと、その基盤となるC人的資本です。

@サステナビリティ経営

お客さま・社会の安全・安心と、公正な事業活動を担保するガバナンス体制を基盤として、気候変動対応や新たな価値共創の取り組みを加速し、地域社会の持続的な発展と企業成長との好循環の実現を目指します。

当社グループの事業基盤である北部九州における豊富な天然ガス需要を確実に取り込むとともに、本年度末に稼働開始を予定している「ひびき発電所」でのLNGを燃料としたCO2排出量の少ない発電や、e-methane(以下、e-メタン)・水素の導入に向けた検討・検証、再エネ電源取扱量の拡大などを通じて、地域のカーボンニュートラルを推進します。

また、更なるエネルギーサプライチェーンの強化やレジリエンスの向上、グループのお客さま価値最大化に向けた新たな価値の創造、コーポレートガバナンスの強化などの取り組みにも注力します。

Aグループネットワーク経営

地域やお客さまとの「つながり」強化とDX推進による企業変革により、グループLTV(お客さまの生涯において当社グループが提供する価値の合計)の最大化とグループ競争力強化の実現を目指します。

エネルギー事業を通じて培った地域とのつながりを活かし、不動産事業の推進やまちづくり、地域のお困りごと解決などに取り組み、当社グループの成長の源泉となる地域活性化と地域・お客さまとの更なるつながり強化に注力します。また、当社グループの強みであるリアルなお客さま接点に、デジタルプラットフォームの強化を通じた接点を融合し、地域の特性などをしっかりと捉えたうえで、住まい・生活・食分野を中心に、より豊かな暮らしに貢献するサービスをグループ各社が連携して提供します。

さらに、データ・デジタル技術とヒトを掛け合わせ、「サービス・業務プロセス」と「組織風土・マインド」を変革し続け、お客さまの利便性やサービスの向上にも取り組みます。

B資本コスト経営

本計画では、財務指標として新たにROIC(投下資本利益率)の目標を掲げました。ROICの改善は、ひいてはROEの改善にもつながるものです。

資本コストを上回るリターンを継続的に生み出し、企業価値を向上する全社的な取り組みとして、「戦略的な事業ポートフォリオマネジメント」と「ROICツリーマネジメント」を段階的に導入し、グループ経営の強化を図ります。グループ全体への浸透には時間を要しますが、極端に言えば「既存の経営管理業務を止めてでもROICの導入・浸透に取り組む」くらいの覚悟でやりきる決意です。

一方で、株主還元については、長く1株70円で安定配当してきました。それを維持するとともに、業績に応じ、配当の更なる充実も含めた追加還元策について多面的に検討します。成長投資と株主還元のバランスを取りながら、能動的な資産の圧縮により生まれるキャッシュを活用した自己株式の取得なども実施していきます。

C人的資本

以上のような、競争優位性を確保するための成長戦略ストーリーにおいて、基盤となるのは「人財」、それも「変革人財」、「挑戦人財」です。「失敗を恐れず挑戦し続けること」を企業文化にして、変革を成し遂げていきたいと考えています。

当社グループには、事業を支えるマインドとスキルを充分に備えた人財がそろっており、私はグループ従業員の人間性とポテンシャルに全幅の信頼を置いています。

価値創造の源泉である人的資本へ積極的に投資し、ウェルビーイングな暮らしを実現する。グループ従業員がみんなワクワクしてエンゲージメント高く仕事に取り組み、幸福を実感する。その結果として、組織の生産性が高まっていく。そんな好循環を思い描いて「人的資本経営」にこだわっています。

この変革を推進するためには、マネジメント層の果たす役割が重要です。人を育てることに加えて、PDCAをもっとショートインターバルで回していけるよう、教育研修の充実はもとより、積極的な人財登用や体系的な制度整備なども含め、リソースを投入してバックアップし、企業価値をさらに高めていきたいと考えています。

加藤卓二
加藤卓二
ステークホルダーのみなさまへ

当社グループの強みは、お客さまと真摯に向き合うことで培ってきた「安全・安心」の上に成り立つ「信頼」のブランド価値であり、その基盤は「人財」です。それを原動力に、これからも変革・挑戦を続けてまいります。まずは足元の「ACT2027」に基づく「行動(ACTION)」を完遂することで、事業を通じた地域社会への貢献に取り組み、収益基盤を確保して株主還元の維持・拡大を目指します。

地域のみなさま、株主・投資家のみなさまには、2030年、さらにその先に向けて当社グループが生み出す価値にご期待いただきたく、引き続きご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

column

 
加藤卓二
加藤卓二

社長就任後に始めた社内イントラネット「卓二の部屋(動画配信含む)」では、様々なグループ従業員との交流が実現しています。グループ従業員との距離を縮めると同時に、現場の声を聴きつつ、取り組みに対する私自身の思いも語っています。投稿は100回を超えました。